「賃上げ」公約めぐり舵取り迫られるタイ新政権
労働者と経営者で割れる世論
- 2019/8/5
さらに社説は、タイ産業連合(FTI)が7月16日、「最低賃金の引き上げによって、中小企業に深刻な悪影響がおよぶだろう」と警告したことにも言及。これに続き、経営者側からも、「政府、労働者、経営者による三者会議では、選挙期間中に掲げられた最低賃金の急激な引き上げを避けることで合意した」「その決定を尊重すべきだ」との声が上がっているという。
物価上昇の対策や福祉の改善が課題
にも関わらず、タイの労働連合委員会は、最低賃金の引き上げ要求を撤回していない。社説は、「最低賃金の引き上げを実施したうえで、労働者が真の意味でその恩恵を受けられるように、政府が対策を強化し、物価上昇をおさえるべきだ」という同委員会の主張を紹介し、一向に動かない政府に対する彼らの批判について「もっともだ」との見方を示す。
その上で、社説は「単純に最低賃金を引き上げるのではなく、借入金の返済支援や医療サービスのアクセス支援のように、社会福祉を改善する施策が重要だ」とした上で、「将来的な賃金の引き上げに見合うよう、労働者の技術向上と人材育成にも取り組まなければならない」と指摘。最後に、「政府が労働者側と話し合い、お互いに受け入れ可能な妥協点を見出すことが必要だ」と述べている。
(原文:https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/1714236/weigh-wage-hike-carefully)