米国がアフガニスタンにドローン攻撃
パキスタンの英字紙「帝国主義的」と非難
- 2021/9/6
米軍は8月28日、ドローンでアフガニスタン国内を攻撃した。8月31日付のパキスタンの英字紙ドーンは社説でこの問題を採り上げた。
無人攻撃、大きな問題
社説は、イスラム過激派組織(IS)系組織の拠点を破壊したという米国の一方的なドローン攻撃について「大変根深い問題がある」と、指摘した。そして、ポイントとして、アフガニスタンという国の主権を侵して空爆をしたこと、そして、攻撃が米国の「帝国主義的な過剰な行為」であること、の二点を挙げている。
「米国の行為は、米兵を含む175人が死亡したカブール空港での自爆テロに対する報復だという。しかし、報復やIS勢力の駆逐は米国がするのではなく、アフガニスタン人によってなされるべきである。地域や国際社会がそれを支援するべきなのだ」
米軍は8月27日夜、アフガニスタン東部のナンガルハール州にいるIS系組織「IS-K」の関係者を標的として無人攻撃を行った上、8月29日には、首都カブールへのドローン攻撃も実施した。社説は「29日の攻撃は、特に問題だ。目撃者によれば、子どもを含む非戦闘員が犠牲になったからだ。米軍は調査を開始したというが、アフガニスタンのタリバン勢力は、一方的な攻撃によって市民が犠牲になったと非難している」と、指摘する。
「ISをはじめとする武装勢力が政権が空白になる機会をとらえてアフガニスタンで混乱を起こし、無実の人々が犠牲にならないよう、世界はアフガニスタンを見捨ててはならない。しかし、どのように対応すべきかが問題だ。残念なことに、米国は、国際的なルールに基づく秩序よりも自らが上にいると考えており、しばしば独立国の主権を無視して武力を行使する。こうしたアプローチによって、テロ行為を減らす代わりに、さらなる混乱が生み出されていることは、イラクでも、シリアでも、リビアでも、そしてアフガニスタンでも明らかだ。本紙でも議論してきた通り、アフガニスタンにおける反IS行動は、アフガニスタン人自身が行うべきだ」
カブールに政権を
「アフガニスタン国内の武装勢力の掃討作戦は、アフガニスタン人自身によって実施されるべきだ」という理由について、社説はこう説明する。
「アフガニスタンのことを最もよく理解しているのは、間違いなくアフガニスタン人だ。彼らの情報に基づいて協力的な外国の武力が加勢すれば、ISの脅威は排除されるだろう」
その上で社説は、「実際には米国が独自に戦うことを選び、事態を複雑化させた」と指摘し、米国の単独行動を強く非難する。
「一方的に攻撃しても、非戦闘員を犠牲にするだけで、テロリストがいなくなったことを証明できる者がいない。そうならないために、カブールに早く政権を樹立することが必要だ」
アフガニスタン情勢は混乱を極めており、国際社会が放置すればするほど多くの国民の命が奪われることになる。米国だけではなく、国際社会全体が責任を受け入れなくてはならない。
(原文https://www.dawn.com/news/1643662/us-drone-strikes)