アフリカ関与策を強めて巻き返しを狙う米国
信頼の回復に挑むも中露との勢力争いの激化は必至

  • 2023/1/27

問われる本気度

 アフリカ大陸は、米国にとって地球温暖化抑制策の目玉となる電気自動車(EV)の製造に必要な鉱物資源を豊富に有しており、この地域との関係の緊密化は、米国の国内政策にとって欠くことができない。

 こう考えると、米国はバイデン大統領のアフリカ訪問を機に、大使館や領事館の人員を増強し、現地に裁量権を持たせることが重要だ。また、債務の罠をはじめ、現地の従業員やコミュニティの搾取など、中国をめぐる悪評を利用して、より人道的で倫理的な援助を行うことも求められる。

 米国とアフリカの間には、16世紀のアフリカ人奴隷の輸入に遡る古い歴史があるが、その重要性やニーズは常に無視されてきたのが実態だ。現在は、対テロ戦争や中露との勢力を競い合う場として重要度が増しているが、バイデン政権の対アフリカ政策を成功させるためには、中国並みの本気度が必要なことは言うまでもない。

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