生命脅かす環境問題に危機感を募らせるアジア諸国
「気候難民」を放置するな 大気汚染対策も待ったなし
- 2026/2/4
気候変動による自然災害や大気汚染など、環境問題が世界各国で深刻な社会問題になっている。2025年11月にブラジルで第30回気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)が開かれたが、化石燃料の段階的廃止に向けた計画について合意にいたらないなど参加国の足並みはそろわず、大きな前進はなかったとされる。
バングラデシュは避難状態の慢性化に危機感
開発途上国では気候変動の影響が特に深刻だ。バングラデシュでは気候変動による大規模災害で住む場所を追われる「気候難民」と呼ばれる人々が急増している。
バングラデシュの英字紙デイリースターは、2025年12月12日付の社説で、この問題をとりあげた。
国際移住機関(IOM)の調査によると、バングラデシュの自然災害による国内避難民は約500万人とされる。社説は「その規模だけでも驚異的だ」と述べる。
さらに社説は、「調査結果によると、国内避難民の3分の2は2020年4月以前に避難を余儀なくされている」として、避難状態が慢性的になっている実態について指摘する。避難の背景は、洪水やサイクロン、河岸侵食などさまざまだ。
「河岸侵食だけで村全体が失われ続けており、サイクロンや季節的な洪水によって市民は何度も損失に追い込まれている。人々が避難を続けざるを得ない状況は、移住計画や社会的保護と支援など、気候変動対応策における政策の欠如の表れだ」
青空を取り戻す対策を呼びかけるインド
一方、インドでは大気汚染が深刻化している。英字メディアのタイムスオブインディアは、2025年12月18日付で「インドがスモッグを根絶すべき10の対策」という社説を掲載した。
社説によると、2023年だけでデリーでは大気汚染による死者数が1万7200人に上ったという。しかし社説は、「懐疑論者たちはこれまで大気汚染を成長の副産物として軽視してきた」と述べ、アメリカのロサンゼルスが1940年代にスモッグで悪名を馳せていたことや、イギリスのロンドンで1952年のある一週間に11万2000人が命を落としたこと、中国の北京で大気汚染の死者が年間200万人に上り、デリーより20年も前に「汚染の首都」の称号を与えられたことなどを挙げる。さらに、「これらはすべて事実だが、アメリカでもイギリスでも中国でも、大気汚染は改善できないものではなかった」として、「対策を打てばインドにも青空が戻ってくる」と、訴える。
そのうえで社説は、汚染実態の適切なデータ収集、粉塵の防止、公共交通機関の整備、自動車の汚染対策、バイオマスの利用など、10項目にわたる対策を掲げる。「解決策は、宇宙開発のような科学ではない。真のガバナンスが求められている」と、社説は述べている。
インドネシアは自宅にしのび込むPM2.5に警戒
東南アジアでも、環境問題は深刻だ。インドネシアの英字紙ジャカルタポストは、2025年12月13日付の社説で「汚染を常態化するな」と訴えた。
社説によれば、ジャカルタでは汚染が屋外の大気よりも危険なレベルで家庭内に浸透しており、大気汚染を原因とする呼吸器疾患が増加しているという。「多くの人々が、自宅内に潜む見えない危険を見落としている。深刻な汚染を日常の事実として耐え忍ぶべき新たな常態としてただ受け入れている兆候は明らかだ」と、社説は懸念する。
また社説は、2025年12月7日午後のジャカルタにおける有害なPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が約26マイクログラム/立方メートルに達したと伝えている。これは、世界保健機関(WHO)のガイドラインで定められた年間安全暴露量の約5倍にもなるのだという。
この対策の一つとして、社説は、コロナ禍の時に経験した公共の場でのマスクの着用習慣を復活させるべきだとして、次のように訴えている。
「市当局、非営利団体、環境活動家、そしてすべてのジャカルタ市民は、この潜在的な健康リスクと戦うために結束しなければならない。共に力を合わせれば、奇跡を起こすことができるのだ」
(原文)
バングラデシュ:
インド:
インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/12/13/pollution-is-not-new-normal.html













