ガザ地区で支援物資の不足が深刻化
輸送量は過去7カ月で最低水準に
- 2024/10/27
国連の発表によると、ここ最近のガザ北部への支援物資の輸送は過去7カ月で最低の水準にまで下がっている。国連は10月1日、ガザ北部における逼迫した生活状況について警告。これを受けて米国もイスラエル側に警告書簡を送るなど、イスラエルの軍事行動は米国からも非難されつつある。
ガザ北部への援助ルートが遮断
イスラエルのメディア・Times of Israelは10月13日、国連報道官の10月1日の発表を受けて、各メディアがガザに食料や生活必需品が輸送されていないと報道していることに対し、「われわれは援助物資の輸送を妨害していない」と主張した。
国連の人道当局者によれば、ガザに入る支援物資の量は、ここ数カ月で最低レベルであり、イスラエルが攻撃を再開したガザ北部ではライフラインが寸断されていると警告した。この結果、北部に残っている40万人以上の人々が南部へ移動せざるを得ない状況に陥っている。
ガザで援助物資の配給を監督するイスラエルの軍事組織COGATは10月9日、「イスラエルは北部での人道援助を妨げていない」という声明を出した。しかし、国連世界食糧計画(WFP)によると、10月はこれまでに100万人以上のパレスチナ人に食糧を届けることができなかったという。ロイター通信は10月初頭、9月の食糧・援助物資の輸送量が過去7カ月で最低の水準に落ち込んだと報じた。
これは、国連がヨルダンからイスラエルを経由してガザに援助物資を運ぶためにチャーターしたトラック輸送に対して、イスラエル当局が新しい税関規則を導入したためである。情報筋によれば、新しい規則では、支援物資を送る援助団体の関係者がパスポートなどの詳細情報を記入し、貨物に虚偽情報があった場合の責任を負わなければならないという。援助団体は、支援物資がハマスをはじめ、イスラエルの敵側勢力の手に渡った場合、この書類に署名することでスタッフが法的問題にさらされることを恐れている。
ガザ北部に届いた「わずかな」支援物資
国連によりイスラエル軍による新たな規制が原因で援助物資の輸送が滞っている問題が浮き彫りになって数日後の10月17日、イギリスの国営メディアBBCは、国連がガザ北部に「わずかな」支援物資が届いたと伝えた。
当初の国連による発表の直後、米国はイスラエルに対し、「即刻、30日以内に」ガザへの援助物資の輸送を改善するための具体的な措置をとらなければ、イスラエルに対する今後の軍事支援の一部を打ち切ると書簡で警告。これに対し、イスラエルは援助物資の輸送の妨害を否定し、2週間ぶりにガザ北部に支援物資が届けられた。
これを受け、イスラエルのダニー・ダノン国連大使は安全保障理事会で、「ガザに可能な限りの支援物資が届いた」と述べたが、国連のジョイス・ムスヤ人道問題担当責任者代理は、届いた物資は「非常にわずか」だと表現した。さらにムスヤ氏は、イスラエル軍がジャバリア地区とその周辺でハマスの戦闘員に対して地上攻勢を激化させているために、ガザ北部のパレスチナ人約40万人に必要な物資が不足していると警告した。これに対し、ダノン氏は「パレスチナの武装組織ハマスが支援貨物を盗んで転売している」と、反論している。
(出典)
BBC:
https://www.bbc.com/news/articles/czxdzynrp61o
Times of Israel: