インドネシア・サッカーの夢
元警視庁幹部の監督就任に期待集まる
- 2019/11/13
東南アジア全域で人気の高いサッカー。ランキングではまだ下位にあるものの、次世代の選手を育てたいと熱望する国は多い。インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは11月7日の社説でインドネシアの有望な若手選手について採り上げ、さらにインドネシアのサッカー界が躍進するために必要なことを指摘した。
FIFAランキング171位
イングランド・プレミアリーグのアーセナルFCが、インドネシアのU19チームのストライカー、アミルディン・バグス・カーフィ選手の活躍に関心を示している、と報道された。社説によると、カーフィ選手は昨年、東南アジアサッカー選手権のU16大会でインドネシアチームを勝利に導いた有能な選手だ。しかし、残念なことに、彼がアーセナルに参加することはない。なぜなら、英国のリーグには、FIFAランキングで70位以下の国の選手と契約してはならない、という決まりがあるからだ。
社説は、インドネシアのサッカーの現状について、「インドネシアは現在FIFAで171位。カーフィ選手に限らず、この国のすべての選手たちは、どんな技術を持っていようとも、世界のトップリーグでプレーするという夢をあきらめなくてはならない。奇跡でも起きない限り、70位に入るなど無理なことだからだ」
そのインドネシアのサッカー界に11月、新しい指導者が誕生した。元ジャカルタ警視庁本部長のムハンマド・イリアワン氏が、インドネシア・サッカー協会(PSSI)の代表に就いたのだ。社説は、イリアワン氏に強い期待を寄せる。
「イリアワン氏は、PSSIの会議で満場一致で代表に選ばれた。PSSIに対しイリアワン氏は、チームの強化、なかでも若手の育成に注力し、ナショナルチームの世代交代を実現する、と述べた。彼の指導力については疑いの余地はない。抗議デモなどが多発した2017年のジャカルタ知事選時のジャカルタ警視庁本部長を務め、その後は西ジャワ州の臨時知事も務めた」
八百長の根源を絶て
華々しい警察官僚、政治家としてのキャリアのあるイリアワン氏だが、スポーツ組織の指導者としての力量はあまり広く知られていなかった。しかし、社説によると、イリアワン氏が今回、PSSIの代表に選ばれた背景には、2009年からバンドンを拠点とするサッカーチーム、ペルシブでアドバイザーとしての経験があることに加え、昨年、10人の若手選手をスペインでのトレーニングキャンプに派遣した「バモス・インドネシア事業」にもかかわっていたことがあるという。
サッカーへの深い関与と指導力は、PSSIが最も必要としていることだ。なぜなら、PSSI自身が八百長と不正で苦境に陥ったからだ。「元チェアマンを含む幹部が八百長に関与し、インドネシア・サッカー界の発展を委託されたはずの人々が、その権利と利益を自分たちのために利用したことが明らかになった。こうしたタイミングで代表に就任した元警察官僚のイリアワン氏が、長年、八百長の温床になってきた悪しき慣習にメスを入れることを人々が期待するのは自然の成り行きだ」
社説もまた、イリアワン氏の警察官僚としての経験と力量に期待を寄せる。「まず、八百長撲滅に全力を注いでほしい。私たちの大切なサッカー選手たちの才能に破壊的な衝撃を与えるからだ。八百長の親玉はまだ捕まっていない。カーフィ選手を含む多くの才能ある選手たちの未来のためにも、この脅威を取り去ってほしい」
(原文:https://www.thejakartapost.com/academia/2019/11/07/indonesian-soccer-dreams.html)