バングラデシュが抱える2つの苦悩 ロヒンギャの流入と若者たちの流出
劣悪化する難民キャンプの環境と人身売買組織の暗躍
- 2026/5/29
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2025年間1年間にベンガル湾およびアンダマン海で少なくとも900人のロヒンギャの人々が死亡、または行方不明になったと報告した。
ロヒンギャは、ミャンマー西部のラカイン州に居住してきた少数派イスラム教徒の人々である。1982年に制定された市民憲法によってミャンマーで正式な「国民」と認められなくなり、無国籍の状態に置かれている。国内では選挙権どころか、移動の自由や教育・就業の権利も否定されているうえ、度重なる掃討作戦や弾圧を受けて国外への逃避を余儀なくされている。ミャンマーの隣国であるバングラデシュは、これまで100万人以上のロヒンギャを受け入れてきたが、国際的な援助が先細りするなか、さまざまな課題が浮上している。
2025年以降に15万人以上が流入
バングラデシュでは、彼らの悲惨な状況に理解を示しながらも、増え続ける受け入れに危機感を募らせている。同国の英字紙、デイリースターは4月18日付の社説で「国際的な援助資金の不足によって、ロヒンギャの窮状への対応がますます困難になっている」と訴えた。
社説によると、2025年以降、ミャンマーからバングラデシュに流入したロヒンギャの人々は15万人以上に達し、国境地帯の難民キャンプでは飢餓と栄養失調が悪化しているという。「毎年数千人の赤ちゃんがキャンプ内で誕生しており、人口が大幅に増加している。その一方で、世界食糧計画(WFP)は現在、深刻な資金不足に直面しており、食糧支援を1人あたり月額12ドルから、脆弱性の程度に応じて最少7ドルへと縮小せざるを得ない状況だ」と社説は伝える。2025年には6400カ所の学習センターも閉鎖に追い込まれ、40万人以上の子どもたちが教育を受ける機会を失った。
国際社会からの援助資金が減少している背景として、社説は「ここ数年、ロヒンギャ支援の半分以上を拠出していたアメリカが人道支援を大幅に削減したこと」を挙げ、「最近のアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃によって、資金調達がいっそう困難になった」と続ける。
地理的な事情からこれまでロヒンギャの人々を受け入れてきたバングラデシュだが、定住先のない彼らに終わりのない難民生活を強いることには、心理的にも経済的にも限界がある。「ロヒンギャ危機の負担は、バングラデシュが単独で負うべきものではない。国際社会は、共同責任としてこの問題に取り組む必要があることを認識しなければならない」と、社説は訴えている。
スーダンより多い若者がバングラデシュから流出
多数のロヒンギャを受け入れている一方、バングラデシュでは近年、欧州へ不法にわたろうとする若者たちも増えているという。デイリースターは4月21日付の社説でこの問題をとりあげた。
社説によれば、違法ルートを通る危険な航海を経て不法移民として欧州に渡ったバングラデシュの若者は、2025年の1年間で少なくとも2万人を超えている。こうした人々の人数は、海を渡って目的地に到着した全移民の3割以上を占め、他のどの国よりもはるかに多いという。
「戦争によって荒廃したスーダンを出て海を渡った人々よりもバングラデシュからの人々の数の方がはるかに多いという事実は、いかにこの国の若者が将来を不安視し、不確実性な思いを抱えているのか浮き彫りにしている」―。社説はそう指摘したうえで、「さらに悪いことに、多くの人がこの不法移民のルートによって命を落としている」と、指摘する。
バングラデシュの若者たちが欧州を目指す背景には、人身売買組織があるという。「外国での良い仕事」を約束されて海を渡った人たちが、目的地にたどり着いても仕事を見つけることができず、だまされるケースが相次いでいるのだ。
社説はバングラデシュ政府に対し、「人身売買が発生しやすい地域で若者にターゲットをしぼったプログラムを実施し、技能を身に付けさせたり、起業の機会を提供したりすべきだ」「人身売買組織の首謀者の責任追及にも取り組まなければならない」と、主張している。
(原文)
バングラデシュ:
- https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/rohingyas-plight-getting-harder-address-shrinking-funds-4154491
- https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/protect-youth-irregular-migration-4156126












