「史上最大のエネルギーショック」に対応迫られる各国政府
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃がもたらしたホルムズ海峡の封鎖に対するアジアの反応を読む
- 2026/5/25
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃がもたらしたホルムズ海峡の封鎖は、世界のエネルギー市場を混乱させている。インド紙は現状を「史上最大のエネルギーショック」と呼び、アメリカに自制を求めるほか、各国は国内の混乱への対応を迫られている。

「オペレーション・エピック・フューリー」の停戦スケジュールを説明する統合参謀本部議長のダン・ケイン大将(2026年5月5日撮影)(c) United States Department of Defense / wikimediacommons
世界経済成長の鈍化を危惧するインド紙
インドの英字紙タイムズ・オブ・インディアは4月20日付の社説でこの問題を取り上げた。
社説は、国際通貨基金(IMF)が当初、世界経済の成長予測を昨年同様の3.4%としていたにもかかわらず、現在は3.1%に下方修正され、さらに「2.5%が現実的」と指摘する声もあることを紹介したうえで、「変化をもたらしているのはホルムズ海峡危機、すなわち史上最大のエネルギーショックだ」と述べた。「この状況が続けば、世界の成長率は2%にまで鈍化する可能性がある」とも指摘する。
さらに社説は、「一刻も早くホルムズ海峡を開通させることが不可欠であり、それを恒久的に実現する唯一の方法は、イランとの対話だ」とも指摘したうえで、次のように述べる。
「アメリカは歩み寄れないのだろうか。相手に執拗に屈辱を与え続けることは、到底、合意を成立させる方法とは言えない。海上交通が正常化するまで、湾岸諸国は以前の水準で石油やガスの生産を再開しないだろうから、アルミニウムや硫黄などの不足は解消されず、世界経済は低迷を続けるだろう。5月半ばに中国を訪問するトランプ大統領が現地で英雄的な歓迎を受けるつもりならば、早急にホルムズ海峡の封鎖を解除すべきだ」
インドネシア紙は中産階級層の脆弱性を指摘
インドネシアも中東危機の影響で燃料費高騰にあえいでいる。地元の英字紙ジャカルタポストは、4月24日付で「低所得者層のみならず、中産階級の人々にも支援が必要だ」と訴える社説を掲載した。
社説は、燃料価格の上昇が「最終的に日用品やサービス価格に転嫁される輸送・物流コストの上昇」につながっていることをインドネシア政府が十分にとらえていない、と指摘する。そして「最も貧しい層は政府の社会支援プログラムによってある程度守られてきたが、中産階級の場合は事情が異なる。彼らは依然として個人消費の柱となっているにもかかわらず、さまざまな補助金や優遇措置から除外されがちだ」と指摘し、今回の中東危機がインドネシアの個人消費にも打撃を与えていると分析した。
2025年の中間層世帯の平均燃料費は前年に比べ2.7%減少した。これは、多くの消費者が燃料を使わないようにしているか、より安価な補助金対象製品へと切り替えていることを示しているという。また、燃料消費量が1%減少するごとに、脆弱な世帯における耐久財(電子機器や家電など)への支出が1.3%減少するという調査もあり、中産階級においても同様の消費抑制が起きている可能性が高いという。
社説は、「社会支援を通じて最貧困層世帯を守ることは依然として不可欠だが、政策立案者は中産階級の脆弱性も認識しなければならない」と主張している。
国を挙げた電気自動車への移行を訴えるネパール紙
「エネルギーと食糧の安全保障」の重要性を改めて訴えるのは、ネパールの英字紙カトマンドゥポストだ。4月7日付の社説でこの問題を取り上げた。
社説によれば、ネパールでは国営企業が1カ月足らずで3度の燃料費の値上げを行った。ガソリンは過去最高価格となり、「輸入化石燃料に依存するこの国の構造的な脆弱性は否定できない」という。
こうした状況下で社説は、国を挙げて電気自動車への移行を進める必要性を訴える。それは「もはや環境保護をするかどうかという問題ではなく、変動の激しい世界市場において経済的な安定性を必死に求める動きだ」という。
もっとも、それを阻んでいるのが「市場に出回っている電気自動車の8割以上が中国からの輸入品」という現実だ。電気自動車への移行が進んでも、それが外国製品への依存によって成り立つのであれば、依然として「安全保障」にはほど遠い。社説は、「輸送システムを動かすエネルギーとデータ管理権を取り戻すことこそ、遠く離れた地域の紛争に国家の繁栄の命運が左右される状態を終わらせる唯一の方法だ」と主張している。
(原文)
インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/strait-talk/
ネパール:
https://kathmandupost.com/editorial/2026/04/07/fuel-frenzy












