月刊ドットワールドTV #20 振り返り 「これは私たちの物語です」
『LOST LAND/ロストランド』公開直前‼ 映画がつなぐ現実と対話

  • 2026/4/23

 ドットワールドと8bitNewsのコラボレーションによって2024年9月にスタートした新クロスメディア番組『月刊ドットワールドTV』が、4月22日の日本時間19時から20回目のライブ配信を行いました。今回は、ナビゲーターを務めるドットワールド編集長の玉懸光枝が、劇場公開が目前に迫った『LOST LAND/ロストランド』の藤元明緒監督と在日ロヒンギャ難民の春成カディージャさんをスタジオに招き、プロデューサーの渡邉一孝さんともオンラインでつないで8bitNewsの構二葵さんとともに伝えました。

「遠い国の話」を越えて

 『LOST LAND/ロストランド』が描くのは、ミャンマーから逃れてバングラデシュの難民キャンプで暮らしていた無国籍の幼い姉弟、ソミーラとシャフィが、家族との再会を願っていくつもの国境を命懸けで越えていく旅路です。総勢200人以上のロヒンギャたちが出演し、全編にわたりロヒンギャ語で撮られた世界初の長編映画で、各国の国際映画祭で高く評価されているこの作品が、いよいよ4月24日より日本全国で一斉に劇場公開されます。

 『月刊ドットワールドTV』では昨年11月の第15回配信でも藤元監督を招き、「【藤元明緒監督 独占手記】第82回ベネチア国際映画祭で感じた芸術の価値」(2026年11月5日付)を基に、三冠に輝いたベネチアの会場で感じたことについて話を聞きました。今回の第20回配信では、 劇場公開を前に玉懸が執筆した「『LOST LAND/ロストランド』が公開 遠い場所の物語はなぜ私たちに届くのか」(2026年4月20日付)を基に、監督、プロデューサー、そして当事者という三つの視点から、作品の意味や、映画と社会の接点について語り合いました。

映画『LOST LAND/ロストランド』のワンシーンより ©2025 E.x.N K.K.

 全編海外で撮影され、日本人も登場しないこの作品は、一見すると日本から遠い出来事のように思えます。しかし、スクリーンに登場するのは、私たちと何ら変わらない日常を生きる人間の姿です。藤元監督は、「遠いのは国であって人ではない」「遠くに行くほど、むしろ人間に近づいていく感覚があった」と振り返ります。

 続いて、プロデューサーの渡邉さんは、共感と意思を基に、「足し算のように」チームが増えていきながら制作が行われた過程を紹介しました。

サウジアラビアのレッドシー国際映画祭の授賞式で。ロヒンギャのスジャさん(中央)は現場で通訳として関わりながら、作品の意図を言語化し、ロヒンギャの人々に思いを共有する重要な役割を担ったという(藤元監督提供)

 また、ロヒンギャ当事者であり、在日ロヒンギャの女性や子どもたちへの支援を続けるカディージャさんの「『LOST LAND/ロストランド』は、私たちロヒンギャの物語です」という発言も、印象的でした。自身は映画のような経験をしていないものの、家族は同じように波に揺られ、過酷な旅を生き延びてきたというカディージャさん。「映画を見て、家族の記憶が目の前に立ち上ってきた」と振り返り、「日本で生まれ、日本しか知らない世代が増えているなか、この作品は自分のルーツを理解するための教材になる」「なぜ、私たちの祖先が命の危険を冒して国境を越えようとしたのか、無国籍という構造的な問題を知ってほしい」と、力を込めました。

映画を観る、の、その先へ

 今回の放送では、映画を起点にした「その先の動き」も紹介されました。

上映後、日本の大学生やロヒンギャの子どもたちと語り合うカディージャさん(中央) (2026年4月12日、都内で筆者撮影)

 藤元監督は、劇場公開にあわせてロヒンギャの当事者が登壇する機会を複数、企画しており、移動の自由がなく日本に来られない主演の2人の姉弟ともオンラインでつなぐことを計画しているほか、チャリティグッズの販売や寄付イベントの開催なども予定しているといいます。さらに、劇場での上映がひと段落した後は、教育機関や地域の図書館などに貸し出し、上映後には感想を語り合う場を設けることも積極的に企画したいと藤元監督は意気込みます

 単なる映画のプロモーションにとどまらず、社会的なインパクトを生み出すための設計として位置付けられている一連の取り組みについて、プロデューサーの渡辺さんは、映画を通じて「共通の体験」を持った人々が語り始める重要性を指摘。「遠い出来事であっても、ひとたび感情移入が起きれば“自分の問題”として引き寄せられる」と強調しました。

 詳しくは、ぜひ以下から番組をご覧ください!

『LOST LAND/ロストランド』公開直前!!スクリーンの外へと動き出すロヒンギャの旅路 『月刊ドットワールドTV』#20

イラン情勢を危惧する各国のまなざし

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