「国際安定化部隊」のガザ派遣に名乗りを上げたインドネシア
「フォースがともにあらんことを」 欠陥だらけの和平案に託すパレスチナの未来 

  • 2025/12/31

 パレスチナ自治区ガザ地区の和平計画をめぐり、国連の安全保障理事会は2025年11月17日、アメリカのトランプ政権が提唱した「国際安定化部隊(ISF)」の派遣などを承認した。15の理事国のうち13カ国が賛成、ロシアと中国は棄権した。

 ISFは有志の国々からの参加を前提としており、パレスチナの警察部隊の訓練やハマスなどを含む武装勢力の武装解除、人道回廊の確保などの「非軍事化プロセス」に携わる。このISFの参加に前向きな意向を表明した国の一つが、インドネシアだ。

ガザ地区の人口密集地付近で、瓦礫とゴミの上に立つ少年。 2024年6月25日撮影 (c) UNRWA / Wikimedia Commons

インドネシア紙は中東の和平プロセスへの関与を歓迎

 インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは、2025年11月20日付の社説でこの問題をとりあげた。

 社説は、「ガザでのISF活動は、インドネシアがこれまで関与してきたどの平和維持活動とも異なる」としたうえで、「その任務は、治安の安定や停戦協定の維持、パレスチナ抵抗組織の武装解除など、広範囲に及ぶ」と述べる。

 また、インドネシアがこの部隊に参加の意思を示したことについて、「支持する」と述べた。社説によれば、インドネシアはアゼルバイジャンとともに、早期に部隊派遣を申し出た国の一つだ。社説は「インドネシアが中東の和平プロセスに積極的に関与することは、わが国の外交政策において歓迎すべき進展である」と主張する。他方、中東諸国を見ると、サウジアラビアは派遣を拒否し、エジプト、カタール、アラブ首長国連邦は協議中だという。

 ただ、社説は、アメリカのトランプ大統領の和平案には「多くの欠陥がある」と指摘する。社説が挙げるのは、「パレスチナ人の意見が一切反映されていないこと、占領下にあるヨルダン川西岸地区で起きているパレスチナ人の殺害や迫害を無視し、対象をガザ地区のみに限定していること、そして独立したパレスチナ国家についての言及が一切ないこと」などだ。

 先の見えない和平案に基づく部隊の派遣は、さまざまな危険や懸念をはらむ。社説は、映画『スターウォーズ』に出てくる有名な「May the force be with you(フォースがともにあらんことを)」という言葉を最後に引用して締めくくっている。これは、インドネシアのみならず、多くの人々の願いだ。

ガザの和平は「危険な幻想」だと言い切るパキスタン

 しかし、ガザの状況については、悲観的な見方も広がっている。パキスタンの英字紙ドーンも、2025年11月29日付の社説でガザの現状について取り上げた。

 同紙は社説で、「アメリカのドナルド・トランプ大統領は、自分のガザ計画によって中東に平和がもたらされたと主張し、パキスタンの指導者をはじめ、多くのイスラム教指導者たちが彼の“偉業”を称賛しているが、実情は非常に暗い」と言い切る。そのうえで社説は、国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」の指摘を引用し、「ガザに平穏が戻っていると考えるのは、危険な幻想だ。世界はだまされてはならない」と警告。「実情は平和とほど遠い」と断じ、「イスラエルが再びこの地域に戦いの火を燃え上がらそうとしている」と主張する。

 さらに社説は、停戦合意後もイスラエルが違反を繰り返し、子どもを含む多くの人々が犠牲になっていることを指摘。「トランプ大統領や、彼の和平案を支持したアラブ・イスラム諸国の指導者たちは、現実を直視すべきだ」「イスラエルが戦争犯罪の責任を問われ、無実の者たちを殺害した罰を受けるその日まで、この地に平和が訪れることはあり得ない」と、訴えた。

 国連から見えるガザの風景と、パキスタン紙が指摘する現実は、果たして同じだろうか。

 

(原文)

インドネシア:

https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/11/20/a-dangerous-peace-mission.html

パキスタン:

https://www.dawn.com/news/1958078/genocide-lite

 

 

 

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