ケニアの住宅基金政策に怒りの声
青写真のツケは誰が払うべきか
- 2019/7/14
力で押さえつけるか、もしくは?
今回の通達に対し、特に強硬な抗議行動を行ったのは職業団体だった。雇用労使裁判所には、雇用者連盟や消費者組合などから「給与の差し押さえは違法」だとして10件以上の異議申し立てを行った。その結果、昨年12月に続いて再び差し止めが行われた。
報道によると、裁判所は6月10までに何らかの声明を発表するとされていたが、6月28日現在、新たに措置についての言及は何もない。しかし、政府によって公開された住宅基金に関する罰則は驚くほどゆるく、「住宅基金の資金や資産を不正に使用した者、あるいは不正使用を援助した者は、2年以下の懲役か、1万シリング以下の罰金、あるいはその両方に処す」という内容。これに対し、ケニア市民は「まるで不正を助長しているかのうな規制だ」と強く反発しており、事態は一層の混乱を見せている。
二度に渡って「強硬突破」を試みたケニア政府の懐事情は、周囲が想像しているもずっと厳しいと推察され、今後、「無い袖は振れない」とばかりに新たな課税に踏み切ることも懸念される。政府と国民たちの間の溝は、広がるばかりだろう。
発表資料で言及されている財源は、本当に確保されているのか。確保されていても、それが本当に公約プロジェクトに使われるのか。国民の声を無視して政府が強権を発動するのではないか。今回の法令に端を発し明らかになった国民の不信感は、ケニア政府が直面している問題の根幹に根深く巣食っている。
汚職撲滅に積極的に取り組む姿勢を示すウフル・ケニヤッタ政権。財源確保のために力で押さえつける道を選ぶか、それとも、透明性の向上を通じて国民の信頼を得る道をとるか。どちらを選んでも、国民の信頼を得るには長い長い時間がかかりそうだ。