アフリカに輸入される中古電子製品の光と影
グローバル大企業と連携するケニアの廃棄物処理センター

  • 2021/12/27

市場原理には市場原理で解決を

 平均年齢が若い途上国では、自動車や衣類、そして電子機器などの需要が高い。自国で生産できなかったり、手が届きづらい価格がついたりする製品の場合、市場原理にのっとって外国から中古製品が輸入されがちである。需要があり、欲する人々がいる限り、構造はなかなか変わらない。

 しかし、消費者に手ごろな価格でモノを提供するだけでは、処理や規制が必要な問題が野ざらしになったままである。特に、中古品の輸入は環境問題につながりやすい上、昨今はSDGsの名の下でこの問題への関心が一層高まっている。「ほしい人に、ほしいモノを」というビジネスの原則を打ち崩すことは容易ではなく、いくら環境や健康被害を訴えても、一度出来上がったビジネスを変革することは難しい。

廃棄物センターに陳列されている処理済みのバッテリー(筆者撮影)

 こうした状況を鑑みると、廃棄物センターの役割は、今後、ますます重要になるだろう。もともと政府が解決に取り組むべき課題に民間企業が先駆けて取り組み、省庁や大企業、そして個人へとパートナーの輪が拡大しているためである。廃棄物を適切に処理して資源へと還元し、各地で多くの雇用を生むというビジネスモデルは、まさに時代を象徴していると言える。いつの日か、アフリカ各地で当たり前のように廃棄物センターを見かけるようになってほしい。

 

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