オンライン詐欺対策 「摘発の先」に何が必要か
カンボジア紙とバングラデシュ紙が問う取り締まりの実効性と国境を越えた協力
- 2026/10/14
東南アジアを拠点とするオンライン詐欺が、国境を越えて深刻な被害をもたらしている。
カンボジアでは大規模な詐欺拠点の摘発が続く一方、バングラデシュでは、高収入の仕事を約束されて東南アジアに渡り、現地で詐欺への加担を強要される被害が報告されている。
こうしたなか、9月23、24の両日、カンボジアの首都プノンペンでオンライン詐欺対策の国際会議が開かれ、20カ国以上の政府や国際機関の関係者が参加した。
しかし、拠点を摘発し、関係者を拘束するだけで、犯罪ネットワークを断ち切ることはできるのか。
カンボジア紙とバングラデシュ紙は、それぞれの立場から、取り締まりの実効性と国境を越えた協力の必要性を訴えている。
「摘発件数だけでは測れない」取り締まりの実効性
カンボジア政府によると、2025年7月から2026年6月末までの1年間に、国内665カ所のオンライン詐欺拠点を摘発した。詐欺への関与を理由に国外退去となった外国人は、38カ国の2万人以上にのぼるという。
カンボジアの英字紙プノンペンポストは、9月18日付の論説記事「Cambodia’s battle against online scams: A crisis beyond the headlines(カンボジアのオンライン詐欺との闘い――報道の見出しの向こうにある危機)で、オンライン詐欺の取り締まりの実効性に疑問を投げかけた。
記事は、カンボジア当局が多数の拠点を摘発し、関係者を拘束していることを評価しながらも、「取り締まりの数字だけでは、最も重要な疑問に答えていない。カンボジアは、こうした拠点の裏にあるネットワークそのものを解体したのか」と問いかける。
筆者によると、一部の西側諸国の政府や組織は、カンボジアが詐欺集団を根絶できたのかについては懐疑的だという。
問題は、摘発や逮捕の件数だけではない。詐欺拠点を所有・運営する者や資金提供者、勧誘者、施設の貸主、資金の流れに関わる人々、さらには、犯罪組織を保護しているとされる当局まで、捜査・起訴されているのかどうかが問われている。
記事は、プノンペンで開催されたオンライン詐欺対策国際会議についても、「有意義な機会」だと評価する一方、会議を開くだけでは、カンボジアの取り締まりが本気であることを世界に納得させることはできない、と指摘する。
「信頼性は、演説の後に何が起こるかによって決まる。事件や有罪判決に関する情報公開、ジャーナリストや市民社会による独立した調査など、第三者が検証できる具体的な成果が必要だ」と、記事は訴えている。
「高収入の仕事」のはずが詐欺の実行犯に
一方、バングラデシュの英字紙デイリースターは9月26日付の社説で、「オンライン詐欺ネットワークの背後にある人身取引の問題に焦点を当てた。
バングラデシュでは、「高収入の仕事がある」と誘われ東南アジア諸国に渡った人々が、現地で拘束され、オンライン詐欺への加担を強要される事件が起きているという。
社説は、カンボジアのレストランで働くことを約束され渡航したバングラデシュ人の事例を紹介している。それによると、この人物は「中国系組織に売り飛ばされ、電気ショックによる拷問を受け、オンライン詐欺への関与を強要された」という。
こうした被害を防ぐために何が必要なのか。
社説は、詐欺拠点で活動する実行犯を逮捕するだけでは不十分だと強調し、「法執行機関は、これらの作戦の背後にいる主要な黒幕を突き止めなければならない」と述べる。
さらに、バングラデシュ政府に対して「犯罪組織が活動している国々と協力・連携し、国境を越えて広がる詐欺ネットワークを断ち切る必要がある」と求めている。
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カンボジア紙が問うのは、大規模な摘発の実績が、犯罪組織の解体という実質的な成果につながっているのかということだ。一方、バングラデシュ紙は、詐欺の実行犯として拘束される人々のなかに、だまされて渡航し、犯罪への加担を強いられた被害者がいる現実を伝える。
立場は異なるものの、両紙に共通するのは、末端の実行犯を摘発するだけでは問題は解決しないという認識だ。
国境を越えて人を集め、資金を動かし、犯罪を続けるネットワークをどう断ち切るのか。オンライン詐欺との闘いには、摘発件数だけでは測れない取り締まりの実効性と、関係国の連携が問われている。
(原文)
カンボジア:
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/we-must-break-the-cyber-scam-networks-4283436











