ネパールの地殻変動「ユースクエイク」を地元紙はどう報じたか
ラッパーから政治家に転じたバレンドラ元カトマンズ市長が首相に選出
- 2026/5/1
ネパールで3月5日、下院総選挙(定数275)が実施され、国民独立党(RSP)が圧勝した。この結果、ラッパーから政治家に転じた元カトマンズ首都圏の市長であるRSPのバレンドラ・シャハ氏(35)が次期首相となり、3月27日に就任宣誓を行った。
カトマンズのラシュトラパティ・バワンで開かれた式典でラム・チャンドラ・パウデル大統領に対して就任宣誓と秘密保持宣誓を行うバレンドラ・シャー首相(2026年3月27日撮影)© President Nepal Gallery Link / wikimediacommons
「バレン時代の夜明け」を祝福
ネパールの英字紙カトマンドゥポストは、就任宣誓の日の社説で、「バレン時代の夜明け」と題してこの話題をとりあげた。
社説は冒頭で、「ついに、ネパール政界の地殻変動が起きた」と、新しい時代の到来を祝福した。同時に、「ユースクエイク(若者の台頭)」の波がネパール政界を直撃した、と述べ、「これは、数十年にわたり年配の指導者たちが繰り広げてきた椅子取りゲームからの、劇的かつ歴史的な脱却である」と評した。
社説によると、ネパールは、人口の42.5%を若者層が占めるにも関わらず、「彼らの願望はあまりにも長い間、政治家たちによって無視されてきた」という。そのうえで、シャハ氏について、「カトマンズ市長としてのクリーンで効率的、かつ、わずらわしさのない統治」という実績から人々の信頼を得て、「生まれ変わったネパールが今後、どんな姿になるべきかという青写真を示した」と述べる。
「複雑な政治体制を乗り切ることも、希望に満ちた国民の高い期待に応えることも含め、今後の課題は山積みだ。それでも、現在、国中に楽観的な雰囲気が広がっているのには、理由がある。ネパールは、ついに、時代遅れの政治文化という<ガラスの天井>を打ち破ったのだ」と、社説は祝福している。
民主主義の再生を象徴
同紙は、これに先立って3月10日付の紙面でも「議会に吹き荒れる『若者の波』」と題した社説を掲載している。先述の「ユースクエイク」について論じたものだ。
社説によると、3月5日の選挙では、全165選挙区のうち、当選した候補者61人(37%)が40歳未満で、そのうち52人がRSPに所属しており、比例代表制を通じて多くの若者が当選する見込みだという。ネパール会議派など他の既成政党からも、40歳未満の若手が複数、当選している。
社説は、「旧来の政治文化は国民の42.5%を占める若者に居場所を与えず、たった3人の70代の政治家を中心に回っていた。事実、わずか4年前の2022年には、40歳未満の国会議員は11%に過ぎなかった。各党の指導部にも若い指導者たちの居場所はなかった」と振り返る。
ネパールでは2025年9月、Z世代による抗議活動が発生し、当時の政権が交代を余儀なくされた。社説は、「今回の選挙における若手議員の勝利には、この抗議活動の精神も込められている。これは、ネパールにとって民主主義の再生を象徴するものである」と述べる。
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「ユースクエイク」は、2024年から2025年にかけて、世界各国で起きた。若者による抗議活動の理由は国によってさまざまだが、ネパールのほか、バングラデシュでも活動は政権交代へとつながった。ネパールの選挙は、その意味でも世界から注目されていた。この選挙結果が「ユースクエイク」として、本格的な政治改革へとつながっていくのかどうか、引き続き世界が注目している。
(原文)
ネパール:
- https://kathmandupost.com/editorial/2026/03/27/balen-era-begins
- https://kathmandupost.com/editorial/2026/03/09/youth-quake-in-parliament












