台湾総統選挙から始まる新しい国際社会の枠組み
中国の権威主義より米国の民主主義を選択した有権者たち

  • 2024/2/11

「2024年選挙イヤー」の幕開けにふさわしい選挙

 こう考えると、台湾総統選は、これから60以上の大型選挙が予定されている「2024年選挙イヤー」の幕開けにふさわしいものであった。近年、ロシアとウクライナの戦争や、東欧の情勢、中東の戦闘などに見られる世界の不安定化の背景には米国のレームダックがあり、米国式の民主主義の限界が露呈しているとの見方が出始め、百年に一度とも言われる国際社会の枠組みの再構築が始まっている。中国の習近平政権が、権威主義を肯定する中国式の現代化モデルをグローバルサウスに打ち出し、米国に代わる国際社会の新たなルールメーカーになろうとの野望を隠そうとしない。そんな中、選挙戦に臨む各国の候補者たちの中には、米国か、中国か、姿勢を問われる者も多いだろう。事実、ツバルでは台湾総統選の直後、1月27日に首相選挙が行われ、親台派の現首相が敗退し、親中を掲げる新首相が誕生した。ツバルは、ナウルに続いて台湾と断交する可能性が出ている。

台湾の有権者たちは、「民主の道」を進む意志をぶれずに示した (2024年1月13日、台北市でAlex Chan撮影)

 こうした中、「選挙イヤー」の先陣を切って、台湾で民主主義国家のお手本のような選挙が行われ、有権者たちがぶれずに「民主の道」を進む意志を見せた影響は大きい。今後、国際社会の枠組みの再構築が進む中、民主主義の価値観を守りたい国々は、台湾との関係構築こそがカギを握っていると考えるべきだろう。

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