イエメン 紅海で続くフーシ派による船舶攻撃
パレスチナとの団結を示すために繰り返される軍事行動

  • 2024/7/9

 イランを後ろ盾に持つイエメンの反政府武装組織フーシ派は、ガザで進行中の戦争におけるパレスチナ人との団結を示すため、イエメン西部に面する紅海を通るイスラエル関連の船舶への攻撃を続けている。

(c) Lara Jameson / Pexels

イスラエルに寄港した船舶への攻撃声明を発表
 カタールに拠点を置くアルジャジーラは6月22日、イエメンのフーシ派がイスラエルの港を利用した商業船と、ガザ紛争のために数カ月にわたって海上攻撃に対応してきた米空母に攻撃を仕掛けたことを発表したと伝えた。

 アルジャジーラによれば、フーシ派のヤヒヤ・サリー軍事報道官は、今回攻撃した商業船がリベリア船籍の貨物船トランスワールド・ナビゲーターだと発表したという。さらに同氏は、以前からイスラエル(占領下のパレスチナ)の港に停泊する船は攻撃の対象となると脅していたことも明らかにした。

 フーシ派は、攻撃はパレスチナ人を支援するためであり、ガザの包囲網が解除されたときにのみ停止すると宣言している。これに対し、イギリスとアメリカ軍はフーシ派が支配している地域全域(イエメン国内)での空爆を行い、同グループの軍事力を弱めている。

地中海の港町での軍事作戦は虚偽か
 ザタイムズオブイスラエルは6月29日付の記事で、フーシ派のヤヒヤ・サリー軍事報道官が紅海でイオアニス号を、また、地中海でワーラー号とヨハネス・マースク号をそれぞれ攻撃したと声明を出していることも報道した。

 今回、世界第2位のコンテナ船会社であるマースク社が所有するヨハネス・マースク号が攻撃された理由として同氏は、「シオニストに対して最も支持的な企業のひとつであり、占領下のパレスチナの港への入港禁止決定に違反する企業にも属しているため」だとしている。

 フーシ派は、6月に2度にわたりイラクのイスラム抵抗勢力と共同で地中海の港町ハイファでの船舶に対する軍事作戦を開始したと主張している。しかし、ハイファ側からそのような報告はこれまでのところない。

 

カタール:

https://www.aljazeera.com/news/2024/6/22/houthis-claim-attack-on-ship-that-docked-in-israel(Al Jazeera)

イスラエル:

https://www.timesofisrael.com/houthis-claim-hits-on-4-ships-in-red-sea-mediterranean-amid-contradicting-reports/(The Times of Israel)

 

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