中東情勢の悪化で長引くエネルギー価格高騰をアジアはどう報じたか
マクロ経済の好調を強調するインドネシア 価格高と供給不足の二重苦にあえぐインド

  • 2026/6/10

 中東情勢の悪化によるエネルギー価格の高騰は、世界の多くの国で人々を苦しめている。「燃料や物価の高騰によって、戦争を身近に感じた」という声は、日本でも聞かれる。

中東情勢の悪化によってLPGが不足のなか、ボンベの補填を待つ人々の列(2026年3月14日撮影)© Nizil Shah / wikimediacommons

「至福の群島」で危惧されるインフレの加速

 そんななか、堅調な経済成長を維持しているのが、インドネシアだ。5月8日付の地元紙ジャカルタポストは、「マクロ経済では順調だ」と題した社説で、その中身を論じた。

 インドネシアは、中東紛争発生後も経済成長率5%台を堅持している。社説によれば、「GDP成長率は予想を上回っている。インフレ率はインドネシア中央銀行が目標とする水準にあり、われわれは順調に推移している」という。さらに社説は、「世界がエネルギー価格の高騰による消費者物価の上昇や経済生産の低下を懸念しているなか、最も注目されるこれら二つの指標は、インドネシアがまさに『至福の群島』である可能性を示唆している」と言い切り、その安定ぶりを強調する。

 ただ、こうしたマクロ経済データは「一部、政府の直接的な介入によるものである」とも指摘。「それ自体は悪いことではないが、代償が請求された際に驚かないよう、あらかじめ念頭に置いておくことが重要だ」と指摘する。

 具体的には、「政府支出が前年同期比で22%近くも増えていなければ、経済成長率は発表された水準を下回っていたはずだ」という。また、「政府が燃料と電気の補助金価格を据え置き、ガソリンとディーゼルの固定価格の調整を先送りしたことが、インフレ率の抑制に貢献した」とも指摘する。一方でこの補填として補助金が発生しており、政府支出を増やしているのだ。

 社説は、インドネシアの現状を「至福の群島」とまで表現しながらも、こうした財政の圧迫が市場の懸念を呼んでおり、結果としてルピア安が進行していること、また、「インフレの加速は今月にも予測されている」と警告することも忘れていない。

直撃を受ける低所得者層の暮らし

 一方、インドは、インドネシアとは違い、「エネルギー価格の高騰と供給不足」に悩まされている。地元の英字メディア、タイムズオブインディアは、5月4日付の社説「危機的状況」で、その様子を論じた。

 社説によれば、インドは4月末、業務用LPGの価格を48%引き上げたという。LPGは、家庭の台所で使われるだけでなく、陶磁器などの製造工場でも燃料として不可欠であり、価格の引き上げによる影響は大きいという。工場は単価の高い高級品の製造を優先するようになり、低所得層には手が出なくなる。さらに、低所得層は調理用のガスさえ困るようになり、困窮しているという。

 社説は、「インドとアメリカは同じようにエネルギー価格が高騰しているが、供給面が異なる」と指摘する。「アメリカは価格ショックに苦しんでいるが、供給不足は起きていない。しかし、インドは高価格と供給不足の両方に翻弄されている」

 社説は、大手肥料メーカーのCEOが、「現在の肥料不足によって、将来的に毎週10億食分の食事が失われる可能性がある」と発言したと伝え、次のように訴えている。

 「飢えに苦しむのは、世界の貧困層だ。ホルムズ海峡の封鎖が一般市民の暮らしに打撃を与え続けている以上、トランプ大統領が何を言おうとも、戦争を本当に終わらせなければ、意味はない」

 

(原文)

インド:

https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/down-the-barrel/

インドネシア:

https://www.thejakartapost.com/opinion/2026/05/08/all-good-on-the-macro-front.html?utm_source=(direct)&utm_medium=channel_editorial

 

 

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