世界で麻しんが流行 南アジアの脆弱な国々は
対策に不可欠な政府の強い意志と戦略の実施
- 2026/6/1
2024年から2026年にかけて、世界各地で麻しん(はしか)が流行している。日本でも例年を上回るペースで感染が拡大しているという。こうした感染症拡大に脆弱な国々の現状を報道ぶりから探る。
バングラデシュ紙は保健行政の怠慢を批判
深刻な流行拡大が続くバングラデシュでは、4月27日付の英字紙デイリースターが、社説でこの問題をとりあげた。
社説によると、バングラデシュでは3月15日から4月14日までの間に、麻しんの疑い例が1万9161件、検査で確認された症例が2973件、さらに麻しん関連と疑われる死亡が166件にのぼった。症例の9割が、1歳から14歳の子どもだという。世界保健機関(WHO)は、今回の流行について「バングラデシュがこれまで進めてきた麻しん根絶に向けた進展の後退を示している」と指摘しているという。
この状態について、社説は「保健省や保健サービス総局による怠慢や積極性の欠如がみられる」と批判している。その事例として、専門家が開いた会議において示された緊急提言を、保健大臣が把握していなかったことを挙げた。
また、麻しんによる死亡を「確定」とするか「疑い」とするか、その区別の方法も問題視する。社説によれば、麻しんの症状で子どもが死亡しても、検査キットの深刻な不足によって検査が行われず「疑い」のままになるケースがあるという。さらに、保健当局が麻しん関連死を「疑い」とカウントすることによって、現在の流行の深刻さを過小評価しようとしているのでは、とも指摘する。
そのうえで社説は、今回の流行について「完全に予防可能であったことが最も深刻な問題だ」と強調し、保健当局が、もっと現在進行中の「この悲劇の重荷」を感じるべきだと強く主張している。
ネパール紙は予防接種の確実な実施を訴え
一方、ネパールの英字紙カトマンドゥポスト紙は、バングラデシュの麻しん流行を「警鐘」と受け止め、自国の脆弱性に言及している。
ネパールでは、今年に入ってから繰り返し麻しんの集団感染が報告されている。2年前に予防接種の終了が宣言されていた州でも集団感染が発生しており、予防接種状況に関する当局の公式発表に疑問を呈する声も上がっている。実際、感染者のほとんどの予防接種状況が明らかになっていないという。
ネパールでは麻しんは「風土病」であり、1994年から2004年にかけて年平均9万件の症例が報告されていたが、2004年以降は予防接種の普及などによって、症例数が大幅に減っている。しかし、集団免疫を獲得するためには、95%の人が2回のワクチン接種を受ける必要があり、接種を1回逃がすだけでもリスクがあるという。
症例が減ったとはいえ、予防接種を確実に実施しなければ、いつまた集団感染の状態に戻ってもおかしくない。「明確にしておきたいが、麻しんは克服不可能な病気ではない。確立された対策戦略がある。必要なのは、それを行動に移す政治的意志だ」。社説は、そう主張している。
(原文)
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/measles-response-clearly-not-enough-4160536
ネパール:
https://kathmandupost.com/editorial/2026/04/14/addressing-nepal-s-vulnerability-to-measles












