10年ぶりの「スーパーエルニーニョ」に警戒強めるアジア
干ばつと熱波に見舞われる地球
- 2026/6/6
世界的に異常気象をもたらすといわれる「スーパーエルニーニョ」が、今年、10年ぶりに発生する可能性が高まっている。発生すれば、世界各地で干ばつや豪雨、異常な高温などが予想され、作物や食料生産に多大な影響を及ぼすことが危惧される。
フィリピン紙は経験を基づく備えを呼びかけ
「スーパーエルニーニョに備える」というタイトルで社説を出したのは、フィリピンの英字紙インクワイアラーだ。社説は「ゴジラ級の現象を予測する声も出ている」と、今年のエルニーニョの異常さに警告を発する。
社説によれば、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は、今年第4四半期に中程度から強いエルニーニョがフィリピンを襲う確率は92%に上るとしており、その影響は来年初頭まで続くという。
「フィリピン農業省は、スーパーエルニーニョが発生する可能性を示唆している。これは、中東地域の混乱に起因する肥料などの高騰によって足かせをはめられた状態にあるフィリピンの農業部門に、間違いなく甚大な被害をもたらすだろう」と、社説は警鐘を鳴らす。
さらに、一部地域ではすでに3カ月連続で降水量が平年の6割減となっており、エルニーニョがピークに達すると、干ばつはさらに悪化する見込みだという。
フィリピンは2024年にもエルニーニョを経験しており、この時は長期にわたる乾燥と干ばつで、農作物や家畜の飼料、水産資源など幅広い分野に深刻な影響が出た。今年のエルニーニョはこれを上回る規模になると予測されることを踏まえ、社説は政府に対し、「万全の準備を急ぐ必要があることを人々に認識させるよう、強く働きかけるべきだ」と主張する。具体的には、栄養価の高い食料を確保するために、例えば緑豆など水をあまり使わない作物への転換を急ぐことや、作付けカレンダーの調整、灌漑システムの見直しなどが必要だと指摘する。
そのうえで社説は、「これまでさまざまなエルニーニョを経験してきたフィリピンには、何が有効で何が不十分だったか振り返るのに十分な実績が蓄積されている」と指摘する。
「エルニーニョ現象を完全に防ぐことは不可能だが、適切に備え、市民と官民の連携・協力があれば、食料やエネルギー、生活必需品などの価格、そして農家の暮らしへの影響を緩和できるはずだ」
「安全な室内温度は公衆衛生上の権利」と訴えるインド紙
インドでは、毎年のように見舞われる猛暑への対策が大きな課題になっている。インドの英字紙ヒンドゥーは、5月15日付の社説で、「安全な室内温度へのアクセスは、公衆衛生上の権利として保障されるべきだ」という議論を展開した。
社説によれば、インド政府は現在、「熱波」を国家災害として指定すべきだという勧告を受け、検討を進めているという。社説は「実際に国家災害に指定されれば、中央政府からの資金の供給がよりスムーズになるだろう」と伝えている。
その一方で社説は、「構想されている対策は、限界に達している」として、「多くは他国の模倣にすぎず、給水所の設置や市民への注意喚起、バス停での待合所の設置など、“短期的な対症療法”に依存している」と批判。「対症療法ではなく、より大規模で根本的な“国家冷却ドクトリン”が必要」だと主張する。その基本は、安全な室内温度への持続的なアクセスを、保障されるべき公衆衛生上の権利として位置付けることだと続ける。さらに、熱波の被害が最も深刻な工場や倉庫、業務用厨房、コールセンター、配送拠点などの冷却基準の設定を義務付け、検査を徹底することを提案している。
「この問題は、北半球に位置する温帯で豊かな経済圏向けに設計された解決策を導入するだけでは解決できない。インドの暑さは、より長く続くうえ、湿度が高い」と社説は訴えている。
(原文)
フィリピン:
https://opinion.inquirer.net/191372/bracing-for-super-el-nino
インド:













