急増する移民労働者の尊厳と権利を守れ
送り出し国と受入国がそれぞれに労働環境の改善を訴え
- 2025/8/26
仕事を求めて国境を越える移民労働者たち。しかし、彼らを取り巻く環境は厳しく、送り出し国側、受け入れ国側、それぞれに改善が求められている。
バングラデシュは仲介時の詐欺や搾取に危機感
バングラデシュでこのほど移民労働者に関する調査が発表され、労働者に対する「搾取」があらわになった。英字紙デイリースターが7月11日付の社説で伝えた。
社説によると、この調査は、2023年1月から2024年10月までの間に、法的支援を求めた移民労働者の相談114件をケーススタディとして分析したもの。その結果、移民労働者の75%が事前に雇用契約書を受け取っていなかったことが明らかになった。残り25%は受け取ったものの、そのほとんどが出発直前だったという。また、海外に渡った労働者の47%が就労許可を拒否され、許可された人の中でも、約束されていた仕事に就くことができた人は24%にとどまった。
さらに社説は、調査対象となったほぼすべての人が法的な上限を大幅に超えた移民労働の仲介料を支払っていたと指摘する。具体的には、サウジアラビアは上限の2倍、マレーシアは6倍だったという。これらの国々は、バングラデシュから移民労働者を多く受け入れている国であると同時に、さまざまな問題が起きている場所でもある。例えば2025年1月~4月の4カ月間にマレーシアから入国を拒否されて送還されたバングラデシュ人は3500人を超えており、多くが仲介の際に詐欺にあっていたという。
社説は、暫定政府に対して移民労働者の尊厳と権利を守るために対応するよう強く求め、次のように訴えている。
「調査によって、被害労働者向けに設けられている仲裁システムの有効性についても深刻な疑問が提起された。具体的には、労働・雇用・訓練局が就労許可証の発行と紛争解決の両方を担当しているにも関わらず、現在、公正な正義を確保する仕組みや、補償や救済措置の明確な基準は存在していない。この提言を踏まえ、政府は対応策を真剣に検討しなければならない」
違法ルートの摘発に政治的な関与を求めるネパール
海外への移民労働者からの送金が国家経済を支えているネパールでも、海外就労をめぐる不正が社会問題となっている。カトマンドゥポストの7月4日付の社説は、「正式な手続きを」と題してこの問題を取り上げた。
社説によると、2024年には約74万人が海外で就労し、今年も8カ月ですでに53万人超が出国した。しかし社説は、「違法なルートが急増しており、多くのネパール人移民労働者が、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの中東諸国などで違法な形で働かされている」と指摘する。
さらに社説は、「このような違法ルートは、ビザ取得の迅速性や書類作成の簡便性を謳い、貧困層らをだましている」と指摘したうえで、「こうした違法ルートを摘発するための政治的意志も欠如している」と、政府を批判。「違法業者には権力者の後ろ盾があるケースが多い」と指摘した。
タイは「地域経済に不可欠な存在」だと指摘
一方、移民労働者を受け入れる側のタイでも、7月6日付で英字紙バンコクポストが移民労働者問題をとりあげた。
社説は、移民労働が「犯罪と搾取の温床」となっていることを現実として認めつつ、「移民を責めたところで問題は解決しない。問題は時代遅れの移民労働法にこそある」と、主張する。「特に国境の町では、移民は地域経済の命綱となっている。市場は彼らに依存しており、多くの移民労働者が消費者でもあるため、彼らの存在はタイの企業にとって重要だ」。
さらに法律により移民労働者が転職できないことなど権利が制限されていることにも触れ、「政府は移民を脅威として扱うのをやめ、経済の不可欠な要因として認識する必要がある」「不法就労者を減らしたいのであれば、合法的に登録できる仕組みを整える必要がある」と、訴えている。
(原文)
バングラデシュ:
ネパール:
https://kathmandupost.com/editorial/2025/07/04/make-it-formal
タイ:
https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/3063882/stop-blaming-migrant-workers













