ガザ地区で失われた教育の機会
新学期シーズンに学校に戻ってこられない子どもたち
- 2024/9/24
パレスチナでは例年、9月に新学期が始まる。しかし、イスラエルによる軍事侵攻が続く中、ガザ地区ではいまだに学校が再開できず、多くの学生がまともな教育を受けられない環境にある。パレスチナ教育省によれば、閉鎖されている学校のうち9割が破壊、または損壊している状態だ。
「失われた世代」の危険性
ロイター通信は、9月10日付の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)へのインタビューを通じて、ガザ地区で教育が失われていることが将来に及ぼす懸念を露わにした。
15歳のモアタズは、本来なら10年生を始めるはずだった9月1日の朝、中央ガザのデイル・アル=バラフにあるテントで目を覚まし、1キロ以上離れた井戸で水を汲んでいた。彼女の父親は、「戦争がなければ、今日は子どもたちが新しい制服を着て学校に通い、医者やエンジニアになる夢を描くのを喜ぶ素晴らしい日であったはずなのに、今、私たちにできることは、子どもたちの命が失われないうちに早く戦争が終わることを祈るだけです」と、悔しそうに語る。
ガザの学校の約半数を運営しているUNRWAは、可能な限り多くの学校を避難所として活用し、数千に上る避難家族を収容している。UNRWAの広報局長であるジュリエット・トゥーマ氏は、「学校に通えない期間が長くなればなるほど、子どもたちは学習の遅れを取り戻すことが難しくなり、“失われた世代”となる危険性が高まります。そして今後、彼らは児童婚や児童労働、武装グループへの勧誘など、さまざまな搾取の犠牲になる可能性もあるのです」と、述べている。
そんななか、UNRWAは2024年8月からガザ地区内に45カ所ある避難所で「学び直しプログラム」を開始。教師たちがゲームや演劇、アート、音楽、スポーツなどを通じて、子どもたちの傷ついたメンタルヘルスをサポートしている。
63万人以上の学ぶ権利がはく奪される
イランをはじめ、中東や世界の最新ニュースを発信しているイラン・フロントページは9月9日、ガザ地区における教育セクターの被害に関するパレスチナ教育省の発表をもとに事態の深刻さを解説した。
記事によれば、ガザでは2023年時点で総人口が220万人おり、約70万人が学校や大学に在籍していたものの、現在は63万人以上が教育を受ける権利を奪われ、学校や大学に戻ることができなくなっているという。
また、本来であれば今年の9月から5万8,000人が小学校に入学して1年生として勉強を始める予定だったが、イスラエルによる爆撃によって誰一人学校に行けなかったと指摘。さらに、高校の試験を受験できずにいる生徒が少なくとも3万9,000人に上ることも指摘している。 。
同誌では、これまでに学生1万人以上を含む2万5,000人以上の子どもたちがイスラエルの攻撃によって死亡もしくは負傷し、公立学校の校舎307棟のうち約9割が破壊されたことを非難している。
イギリス(ロイター通信):
イラン(Iran Front Page):
https://ifpnews.com/palestinian-ministry-600k-students-gaza-education/