現代の海で行われている奴隷労働をめぐる戦い
映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』が問いかける消費者の責任とは

  • 2022/6/14

持続可能な漁業の仕組みを考える

 タイ船籍が、「海の奴隷」を酷使して漁獲するシーフードは、決して日本とも切り離せない問題である。日本は、ツナ缶、エビ、そして養殖用の魚粉など、世界で二番目に多くの水産物をタイから輸入している。キャットフードにいたっては、輸入元の半分近くがタイだという。これを証明することは難しいが、WWFジャパンによれば、日本が輸入している水産物の約3割は、違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)な方法で漁獲されたもの(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000161.000018383.html)である以上、私たちが日常的に購入しているシーフードにも、現実的にはこうした製品が混じっていると考えるべきだろう。IUU(アイ・ユー・ユー)漁業由来であっても、シーフードミックスなどの冷凍食品や缶詰に加工されてしまえば、誰がどこでどのようにして捕ったものなのか、非常に見えにくい。

映画「海の奴隷」のワンシーン ©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

 こうした問題のあるシーフードをなにげなく購入し、「海の奴隷」問題に加担してしまうことを避けるためには、どうしたら良いのだろうか。一つの選択肢は、水産資源と環境に配慮して適切に管理された、持続可能な漁業によって獲られた天然の水産物であることを認証するMSC「海のエコラベル」が付いたシーフードを選ぶことだ。そのためには、MSCが付いた製品がないかスーパーで尋ねるだけでも、意味のある行動だと言える。多くの声が届けば、スーパー側もニーズの変化に気付き、MSC認証製品の取り扱いを始める可能性があるからだ。

 また、IUU漁業を規制するよう、日本政府に働きかけることも重要だ。そのためには、WWFジャパンが現在、実施中の署名活動に賛同することも有効だ(https://www.change.org/IUUfishing)。

映画「海の奴隷」のワンシーン ©Vulcan Productions, Inc. and Seahorse Productions, LLC.

 そして何より、まずは知ることからすべてが始まる。ぜひ映画『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』を通じて、一人でも多くの方に現実を知っていただきたい。認識が変われば行動が変わり、行動が変われば社会が変わる。多くの人々が行動することで、現実はきっと変えることができるはずだ。

 

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