気候変動を巡って危機意識を募らせるアジア
公衆衛生上の緊急事態宣言や気候難民への配慮も視野に

  • 2026/7/5

 気候変動や環境保護が地球規模の緊急課題となって久しい。その一方で、アメリカのトランプ政権が気候変動枠組み条約からの脱退の意向を示すなど、国際的な取り組みは逆行しつつある。

気候変動への適応とは、地球温暖化への対応策の一つ。比較的急激な変化に対する社会システムや生物システムの脆弱性を軽減することで地球温暖化の影響を緩和することめざす © Tommaso.sansone91 / wikimediacommons

化石燃料への補助金打ち切りを求めるマレーシア紙

 マレーシアの英字メディア、ニューストレーツタイムズは、5月18日付の社説で、「気候変動は公衆衛生上の緊急事態として宣言されるべき問題」だと主張した。

 社説は、世界保健機関(WHO)の諮問機関である「気候と健康に関する汎欧州委員会(PECCH)」が現在、WHOに対して「気候危機を公衆衛生上の緊急事態と宣言せよ」「さもなければ、世界中で何百万人もの命が失われることになる」というメッセージを発信していると伝えている。

 PECCHは、気候危機を新型コロナウイルスのパンデミック時と同様の緊急事態と捉えていると社説は言う。「PECCHは気候危機がパンデミックではないことは認めながらも、人間の健康と生存を脅かす公衆衛生上の緊急事態と位置付けており、世界が即座かつ包括的な措置を講じるよう求めている」。

 この提言に対し、社説は「それぞれの国ができる対策」を論じた。その筆頭に挙げられたのが化石燃料への補助金の打ち切りだ。補助金は、特に欧州において金額が多く、「公衆衛生より化石燃料への補助金の方が多い国もある」という。さらに社説は、「医療体制のレジリエンスを高めるように求めるPECCHの呼びかけは、正しく、かつ、時宜を得たものだ」と述べている。

バングラデシュ紙は森林の保護を訴え

 気候変動の影響を受けるのは、人間だけではない。バングラデシュの英字紙デイリースターは5月24日付で、「誰が私たちの森を守るのか」と題した社説を掲載した。

 社説は、チッタゴン管区にあるチュナティ野生生物保護区で、不法侵入と資源の採取によって森林が居住地や農地へと転用されていると指摘し、早急な対策が必要だと訴える。チュナティ野生生物保護区は、絶滅危惧種であるアジアゾウの重要な政策地としても知られるが、社説によると、森林内に約7000戸の住宅が新たに建設され、田畑や魚の養殖場が存在しているという。

 ただ、社説は、不法侵入をしている人々の大半が「気候難民」であるという点を指摘する。気候難民とは、気候変動により住む場所を変えざるを得なかった人々であり、この地域の場合、海岸浸食により家を失った人たちを指す。社説は、「住民の苦境もまた考慮に値する」と述べたうえで、こうした侵入が野生生物に深刻な影響を与えていると指摘している。

 社説は、マレーシア政府に対し、チュナティ野生生物保護区の生物多様性と野生生物の保全を最優先するように求めるとともに、気候難民となった人々に人道的な代替策を見出すよう併せて要求している。

 

(原文)

マレーシア:

https://www.nst.com.my/opinion/leaders/2026/05/1441843/nst-leader-climate-crisis-must-be-treated-global-health-emergency

バングラデシュ:

https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/who-will-defend-our-forests-4182946

 

 

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