長引く燃料の価格高騰と供給不足が市民を直撃
南アジアの社説に見る危機感 求められる長期的な対策

  • 2026/6/29

 長引く中東情勢の悪化により、世界各地で燃料価格の高騰や供給不足が発生し、それぞれの政府が対応に追われている。アメリカとイラン双方は日本時間の6月15日、和平合意が成立したと発表したものの、6月末現在、双方が停戦合意違反を主張して攻撃の応酬が続く事態となっている。

 燃料の供給不足もすぐには解消されないと見られるなか、エネルギー政策の転換など、より長期的な対策が必要だと指摘する声も上がっている。

ガソリンを求めて殺到する人々(フィリピン・セブで2026年3月16日撮影)© Martin Michlmayr / wikimediacommons

「節油対策」を訴えるスリランカ紙

 スリランカの英字紙デイリーニュースは、5月27日付の社説でスリランカ国内の状況について論じた。

 エネルギー危機に対する厳しい「節油対策」としては、高速道路の速度制限の引き下げ、リモートワークの推進、公共施設の室温規制などが挙げられる。しかし、社説は「最も重要なのは個人の節油努力である」と述べ、「燃料タンク1杯分は、結局のところ数百万滴の積み重ねだ。不足が深刻化すれば、一滴一滴が重要になる」と続ける。

 また社説は、スリランカ国内で市民が個人レベルで燃料を節約するための方法をいくつか提示している。例えば、自動車の運転で一定の速度を維持することや、急加速・急ブレーキを避けることを挙げ、「早めに家を出てラッシュアワーの渋滞を避けること」がこうした運転に寄与する、と指摘する。さらに、買い物や外出をまとめてこなして不要な移動を減らし、相乗りを進めることから、タイヤの空気圧の定期的なチェックまで、事細かに毎日の行動でできる節約術を伝える。

 社説が懸念するのは、不足や供給の途絶が予想される際の燃料消費量の急増だ。背景にあるのは、燃料の買いだめである。

 「人々は不必要にガソリンスタンドへ殺到し始め、自宅に少量の燃料を備蓄するようになる。新型コロナウイルス感染症が拡大した時期から続くこうしたパニックに駆られた行動によって、不足はさらに悪化し、すでに限られた燃料の在庫にさらなる負荷をかける」

 社説は、こうした「有害な傾向」を抑制する効果的な方法を見出さなければならない、と訴えている。

ネパール紙は石油依存からの脱却を訴え

 より長期的な対策を提示したのは、ネパールの英字紙、カトマンドゥポストだ。同紙は5月11日付の社説で「ネパールは石油への依存を脱しなければならない」と論じた。

 社説によると、ネパールの燃料価格は現在、「中産階級や都市部の貧困層の生存そのものを脅かす水準まで急騰」しているという。そうしたなか、「一筋の光」だと社説が指摘するのは、電気自動車への移行だ。「進展はいまだ不十分」としながらも、ネパールでは新たに販売される車の7割以上が電気自動車となっていることから、石油依存を脱却する一つの可能性になるというのだ。

 電気自動車が普及するためには、給電ステーションの設置など適切なインフラ整備が不可欠であり、単に電気自動車を増やすだけでは必ずしもその利用につながらないため、即効性には疑問がある。とはいえ、長期的な対策としては有力な選択肢の一つと言えよう。

 社説によれば、最近、ネパール国内の公共交通機関の運賃が、約17%値上がりした。学生や貧困層にとっては、最小限の移動手段をも奪われることになり、厳しい状態だ。また、ネパール政府は休日を増やすことで人々の移動を抑えようとしているが、社説は「根本的な問題解決ではない」と指摘する。

           *

 燃料価格の高騰や燃料不足は、人々の暮らしや経済活動そのものを抑制してしまう。ネパールやスリランカのメディアが論じる「対策」を見ると、それぞれの国の危機感が伝わってくる。

 

 

(原文)

スリランカ:

https://dailynews.lk/2026/05/27/editorial/1001109/fuel-for-thought/

ネパール:

https://kathmandupost.com/editorial/2026/05/11/nepal-s-energy-transition-is-incomplete-if-the-middle-class-is-left-behind

 

 

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