オリンピックに見る格差 新興国の「小さな選手団」が示すもの
資金不足に選手層の薄さ スポーツ政策が投影する各国の事情

  • 2024/8/25

 7月26日から17日間にわたりフランスのパリで開催された第33回夏季オリンピックでは、多くの熱戦が繰り広げられ、人々を魅了した。しかし、その一方で、華やかな開会式や閉会式では選手団の大きさの違いが一目瞭然だった。多くの新興国にとって、オリンピックやスポーツは、「経済力」と密接に関わっている。

(c) Bo Zhang / Unsplash

崩壊寸前のスポーツ政策 パキスタンの嘆き
 パキスタンの英字紙ドーンは、7月21日付の社説で自国のオリンピック参加について論じた。
 社説によると、今回のパキスタン選手団は同国史上で最も少ない7人で、前回の東京オリンピックの時の10人を下回った。「オリンピックに3大会連続で出場するという目標は実現できたものの、選手の少なさは、パキスタンがスポーツ立国としていかに遅れているかを示している」と社説は指摘する。
 また、「パキスタンのスポーツ政策の改革案は崩壊寸前で、ほとんど注意が払われていない。スポーツ再生のための戦略は机上に残されたまま、実行されていない」と続け、政府の無策ぶりを非難する。
 パキスタン国内には「純粋な天性の才能」を有する世界水準のやり投げや射撃の選手がいるものの、現在、メダルを期待されるのは彼らだけだという。社説によれば、パキスタンはかつて「アスリートに誇りをもっていた」にも関わらず、その後、アスリートを取り巻く環境は急速に衰退し、彼らは資金や競技機会の不足に直面しているのが現状だ。
オリンピックに思い入れがとりわけ強いとされる日本ではあまり想像がつかないが、開発途上国や新興国と言われる国々では、オリンピックは必ずしも「一大イベント」ではない。実際、アジアの新興国のメディアを見てみると、パリオリンピックの話題はそれほど扱われていない。その背景には、スポーツ政策に予算を割くことができず、世界大会で活躍できるレベルの選手が少ないという各国の事情がありそうだ。

スリランカで話題沸騰の女子クリケット

 一方、スリランカでは、オリンピックの話題ではないが、国民的競技であるクリケットについて、女子選手たちの活躍に国中が沸いているという。7月30日付の英字紙デイリーニューズは、「私たちのクリケット女子選手に称賛を」と題した社説を掲載し、女子アジアカップで強国インドを大差で破った同国の女子クリケットチームについて、「祖国に誇りと栄光をもたらした」と讃えた。
 社説は、「この勝利によりこれまで光が当てられてこなかった女子クリケットが、我が国のスポーツ界の最前線に躍り出ることは間違いない。男子クリケット選手にしか与えられてこなかった称賛と富を、今後は彼女たちも得ることになるだろう」と振り返ったうえで、「今回活躍した女子チームには、スポンサーの申し出が相次いで寄せられるだろう」と予測。さらに、「国が女子クリケットの発展に必要な資金を積極的に提供することにより、今後、さらに大きく変革していくだろう」と、期待を滲ませる。
 2022年春、外貨不足に伴い債務不履行に陥ったスリランカは、国際的な支援を受けて経済回復への道を歩みつつあり、社会課題はいまだ多々あるものの、着実に回復途上にあると見られる。女子クリケットの国際的な活躍は、国内のそうした上向きのムードを反映するものなのかもしれない。


(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1846982/olympics-contingent

スリランカ:
https://www.dailynews.lk/2024/07/30/editorial/597873/hail-our-women-cricketers/

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