経済成長の影で根強く残る児童労働や児童婚の根絶を
教育や生存の権利を奪われ、圧迫される子どもたち
- 2025/12/29
ユニセフの2025年の発表によれば、世界で児童労働に従事している5歳から17歳の子どもは約1億3800万人に上ると言われる。グローバルサウスの国々では特に問題が深刻であり、児童労働によって子どもたちの健康や安全が脅かされ、教育を受ける機会が奪われている。
根絶のカギを握る農家や漁師の意識改革
フィリピンの英字紙デイリーインクワイアラーは、2025年11月9日付の社説「フィリピンの児童労働を終わらせよ」でこの問題をとりあげた。
社説によれば、マルコス政権は漁業分野における児童労働を「3年以内に根絶する」という野心的な目標を設定している。実際、5歳から17歳の就労児童数は、2022年の82万8000人から、2023年には67万8000人へと、1年で15万人減少した。とはいえ、60万人を超える子どもたちが今も労働に従事している。なかでも、漁業・養殖業を含む農業部門は未成年労働者の6割以上を占めており、なかなか改善が見られないという。
社説はフィリピンの労働長官の言葉を引用し、「この問題の背景には、貧困と文化という二つの要因がある」と述べる。フィリピンでは、特に農業や漁業に従事する家庭で「家事を手伝うこと」が「家族への貢献、親孝行」とみなされるという。また、技能や仕事が「遺産」として親から子へ受け継がれるということも一般的であり、その点でも子どものうちから仕事に従事する土壌があると言える。社説は、こうした家庭の「意識改革」を含めた総合的なアプローチが必要だ、と指摘する。
さらに近年、フィリピンで深刻なのは、オンライン上の商業的な性的搾取の被害者となる子どもたちだ。国際労働機関はこれを「最悪の形態の児童労働」と位置付けている。社説によれば、フィリピンからのこうした事件の通報件数は、2023年の270万件超から2024年には170万件に減少しおり、進展の兆しがある。とはいえ、根絶には至っていないことから「継続的な取り組みを必要とする重要分野だ」として強調している。
児童婚の急増で高まる静かな緊急事態
バングラデシュでも児童労働は深刻な問題だ。英字紙デイリースターは、2025年11月21日付の社説でこの問題をとりあげ、「児童労働と児童婚を止めなければならない。政府は根絶を約束せよ」と訴えている。
社説によると、バングラデシュの子どものうち中等教育を修了するのは半数未満で、中退した子どもたちは「結婚させられるか、危険な労働に追いやられる」という。15歳から19歳の少女の結婚率は38.9%であり、この数値は急増しているという。さらに、児童労働者の9%が、過酷な高温、有害化学物質や粉じんの中など危険な場所で働いており、この割合も2019年の6.8%から増加しているのだという。
「児童労働も児童婚も、子どもたちの幼少期を奪い、そして教育を受ける権利、健康に生きる権利をも奪う。こうした子どもの数が増加している事実は、国家の緊急事態である」
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フィリピンもバングラデシュも、ともに経済的には成長を続ける国々である。しかし、貧困を原因とするさまざまな社会課題は、今も根強く残る。特にバングラデシュでは、児童をめぐる環境は近年悪化していると報道されている。グローバル化の進展による貧富の格差の拡大、気候変動の負の影響などが、貧しさの中にある子どもたちの生活を圧迫している。
(原文)
フィリピン:
https://opinion.inquirer.net/187330/ending-child-labor-in-ph
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/we-must-stop-child-labour-and-marriage-4039781













