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新型コロナ、変異株で何度目かの感染拡大
危機感を募らせるパキスタンとバングラデシュ、タイの社説
- 2022/7/22
日本を含む世界各地で、新型コロナの感染がまた拡大している。今回は、感染力が強く、既存のワクチンが効きにくいといわれるオミクロン株のBA5系統に置き換わっていることが多いとされ、各国が警戒を強めている。
政治不安の中で急増する死者数
パキスタンは、3月にいったん感染が抑制されて以来の感染の波に見舞われている。パキスタンの英字紙ドーンは7月19日付の社説で、この問題を採り上げた。
社説によると、パキスタンでは7月16日、1日の新規感染者が700人以上に上り、10人が死亡した。1日あたりの死者数は、今年3月3日以降で最も多いという。社説はこの兆候を受け、政府による感染対策が即時に必要としたうえで、「対応が必要なことに見ないふりをすることは、免疫力が弱い人たちや、感染に耐えられない人々にとって致命傷になる」と、主張する。
また、同国では、今年4月にカーン首相が不信任決議で失職するなど、政治的に問題が噴出している。しかし社説は、「だからといって新型コロナ対策をしなくて良い理由にはならない」と指摘し、危機感を募らせている。
放置されたままのワクチン工場建設
バングラデシュでも新たな感染拡大が始まっている。特に懸念されているのが、明らかな対策不足だ。同国の英字紙デイリースターは7月14日付の社説で、ワクチン製造工場の建設計画が1年以上も「放置」されている、と関係者を批判した。
社説によれば、バングラデシュ政府が国内にワクチン製造工場を建設することを決定したのは、昨年7月のことだった。しかしその後、計画は進展せず、「関係者の会議が数回開かれたに過ぎない」という。
「ワクチンの国内製造は、優先順位が最も高いはずにも関わらず、国会の保健委員会ですら、前進させることはできていない」
新型コロナウイルスの感染拡大を完全に抑制する方法は、今もなお見つかっておらず、われわれはワクチン接種と治療薬によってこの感染症と共存していかなければならない。だからこそ、ワクチンを国内で製造できず、輸入に頼るしかない多くの国々の不安はぬぐえないままだ。
とん挫した風土病宣言
新型コロナを「風土病」とし、社会全体を通常へと戻そうとしていたタイも、新たな感染拡大に見舞われ、計画がとん挫した。タイの英字紙バンコク・ポスト紙は7月7日付の社説で、政府は危機感が薄いと批判する。
社説によると、タイ政府は7月初頭、「新型コロナウイルスは風土病だ」と宣言する用意をしていたが、感染の急拡大を受けてこれを遅らせることを決定した。その一方で、撤廃したばかりの「マスク着用義務」を、室内や換気の悪い場所で復活させるべきだという動きが出ているという。
社説は、「国民の76.5%がワクチン接種を2回終えている」とした上で、「しかし、高齢者の接種率は高くない。さらに、3回目のブースター接種を済ませた人は42.7%にとどまっており、政府が目標に掲げる60%には届いていない」と指摘する。一方、ワクチンを6回接種したにも関わらず、6月末感染が明らかになったアヌティン保健相は、「それでも事態はコントロール可能だ」と発言したという。
社説は、「以前のような経済や社会活動の抑制が繰り返されてはならない。そうなる前に、政府は国民が生き残るための施策と明確なメッセージを打ち出さなければならない」と訴える。
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「ロックダウンには、もう耐えられない」
いまや、世界中、どの国を見ても、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために行動制限を強制することには慎重な姿勢を示している。ロックダウンを含む行動制限によって社会が受けた傷は、あまりに深い。われわれは「ウイルスとの新たな共存の方法」を可及的速やかに見出す必要に迫られている。
(原文)
パキスタン:https://www.dawn.com/news/1700482/covid-surge
バングラデシュ:https://www.thedailystar.net/opinion/news/delay-building-vaccine-plant-unacceptable-3070196
タイ:https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2341302/clear-covid-confusion