ガザ危機で悪化する人権国家ドイツのレイシズム
抑圧される連帯の動きと言論の自由

  • 2024/4/30

法的根拠が不明瞭な警察の介入

  3月1日、ニカラグア政府は、ドイツ政府をオランダの国際司法裁判所(ICJ)に提訴し、審議が始まった。イスラエルへの武器供給と、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金の停止が、ジェノサイド条約と1949年のジュネーブ諸条約に違反しているとの訴えだ。

 しかし、親パレスチナの連帯を潰そうとするドイツ国内の動きに変化は見られない。特に槍玉に上がったのが、4月12〜14日に開催が予定されていた『パレスチナ会議』だ。パレスチナの人々の権利を求め、イスラエルの暴力とそれに加担するドイツの役割を明らかにすることが計画されていた。ベルリンに拠点を置くユダヤ人団体「中東における公正な平和のためのユダヤ人の声」が、プログレッシブな汎欧州政党「DiEM25(Democracy in Europe Movement 2025)と共催し、パレスチナ系・ユダヤ系の活動家などによる講演やワークショップも予定されていた。

 しかし、同会議をめぐっては、「ユダヤ人ヘイトであり、開催を阻止する」とベルリンの内務大臣らから声が上がっていた。

 3月25日、パレスチナ会議のチケット800枚の代金が振り込まれていた、中東における公正な平和のためのユダヤ人の声の銀行口座は、明確な理由もなく凍結された。それでも開催に向けて急きょ資金を募ったが、予定通り開催に臨んだが、直前になって同会議での登壇者が入国を拒否され、会議開催を妨害・禁止される事態になった。

 しかし、その法的根拠は不明瞭で、主催者は「法的措置に出るつもりだ」と述べている。

 会議当日、連邦内務大臣のナンシー・フェーザー氏も、「「私たちはイスラム主義者のプロパガンダやユダヤ人に対するヘイトを許さない」とXに投稿した。しかし、パレスチナ会議を共催していたのはユダヤ人団体であり、イスラエル国籍保持者も中にはいた。

 シリアでパレスチナ難民として育ち、シリア内戦で再び難民となって6年前にドイツにやってきた男性は言う。「言論の自由がないのは、独裁国家だけだと思っていました。でも、そうではなくて、ここにも存在していたんです」

 

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