タイ最大のスラムの立ち退き問題
再開発計画に揺れる人々の行方

  • 2019/8/26

約6万人が立ち退き対象                               

 新政権下でも、再開発計画は進んでいる。港湾局を管轄するタイ運輸省の副大臣は8月6日、「2020年初頭にクロントイ・スラムの再開発事業を開始する」「移転住民のための高層アパートの建設を開始する」と発言。国内の複数のメディアに報道された。

 立ち退きの対象は、港湾局が所管する26地区に住む1万3,000世帯、約6万人。SVAの事務所のほか、バンコクを代表する庶民の台所として有名なクロントイ市場も含まれている。

バンコクの台所として知られるクロントイ市場も、立ち退きの対象となっている(筆者撮影)

 計画によれば、チャオプラヤー川沿いのクロントイ港の機能は大幅に縮小し、跡地に娯楽施設やショッピングセンター、オフィス、ビジネスセンター、ホテル、国際会議場、コンドミニアム、公園などを建設して「スマートシティ」にするという。

クロントイ港は、クロントイ・スラムの一部が再整理され、コンテナターミナルになった(筆者撮影)

 立ち退きの条件として港湾局は、

(1)現在の場所から東に約2キロの場所に建てられる25階建て高層アパ―トの一室を提供。部屋代は無料で、管理費のみ住民負担、

(2)バンコクに隣接するノンタブリー県ノンチョーク地区に代替地を用意。住民は自己負担で家を建築、

(3)新生活に必要な移転補償金を支給、

の3つの選択肢を提示している。

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