「コロナ後」の観光業、復活へ
規制緩和を受け立て直しに本腰を入れるアジアの社説を読む

  • 2022/10/12

 新型コロナの感染拡大がようやく下火になり、世界各地で行動規制、入国規制が緩和され始めている。おりしも東南アジア各地は間もなく雨期が明け、観光シーズンが始まろうとしている。久しぶりの行動規制のない観光シーズンの到来に、各国とも期待を高めている。

2018年にシンガポールで開かれたF1グランプリGPの様子 (c) Hanson Lu / Unsplash

近隣国と連携し境目のないネットワークの構築を訴えるタイ

 タイの英字紙バンコク・ポストは、9月23日付の紙面で「観光業界を建て直す時だ」と題した社説を掲載した。

 タイでは、10月1日からビザの有効期間が変更になった。例えば、到着時に取得するオンアライバルビザで認められる滞在日数は、15日間から30日間に延長される。また、ビザなしの訪問が認められている国の旅行者も、滞在が30日間から45日間に延長される。まずは3月31日までの期限付きの措置だというものの、関係者の期待は高く、「観光業が復活するための重要な機会になる」と指摘する。

 社説によれば、観光業は、以前はタイのGDPの12%を占めていた主要産業だった。しかし、新型コロナの感染拡大によって渡航制限や航空便の運休などが相次いだうえ、長期化したために、観光業界は壊滅的な打撃を受けた。

 しかし、行動規制や入国規制の緩和を受けて、タイへの関心が再び高まっているという。社説は、「旅行者が訪れたい国としてタイの人気は上昇傾向にあり、インターネットの検索数も今年初めから右肩上がりが続いている」と指摘する。その一方で、イ政府に対して、「ここで喜んで気を抜くのではなく、観光産業をさらに充実させるためにさらなる投資を行わなければならない」と指摘。改善が求められる分野として、観光客に不評なバンコクの大渋滞、タクシーやトゥクトゥクの不透明な料金体制、時刻表通りに来ない公共バス、英語の看板の少なさなどを挙げた。

 さらに、バンコクだけではなく、観光地として人気の高いプーケットもまた公共交通機関が未整備で、タクシーの料金体系が不透明であるといった課題がある。

 また、社説は「タイは近隣諸国への入り口となっている」とも指摘する。ハブ空港であるバンコク国際空港からは、カンボジア、ミャンマー、ラオスなど、近隣国へ飛ぶことができる。社説は、「こうした国々とも協力し、境目のない観光資源としてのネットワークを構築するべきだ」と、主張している。

 

シンガポールはF1レースの再開に期待

 同様に、「コロナ後」の観光業の再生に期待をかけるシンガポールでは、9月25日付の英字紙ストレーツタイムズに「F1レースとともに観光業が息を吹き返す」と題した社説が掲載された。

 都市国家シンガポールの街中で年に一度、繰り広げられる有名なカーレース「シンガポールグランプリ」は、一昨年と昨年の二度にわたり中止を余儀なくされたが、今年、ようやく再開する。社説は「観光業界は今年のグランプリを復活のマイルストーンとして位置付けている。このライブイベントを楽しみにしている人たちがどれほどいることか。なにしろ、コロナ禍直前に開催された2019年には、3日間で約26万8000人を動員したイベントなのだから」と、期待を寄せる。

 社説によれば、2019年には約1900万人がシンガポールを訪れ、観光収入は277億ドルに上ったが、コロナ禍によって2021年の訪問者は約33万人、観光収入は19億ドルにまで落ち込んだという。

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 タイやシンガポールだけでなく、アジア各国はすべて、壊滅状態に陥った観光業の復活を願っている。アジアの観光業を牽引するタイやシンガポールで本格的な観光業の復活が見られれば、その波は急速に各地へと広がっていくだろう。期待したい。

 

(原文)

タイ:https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2398233/time-for-tourism-rejig

シンガポール:https://www.straitstimes.com/opinion/st-editorial/tourism-sector-roars-back-with-f1-race

 

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