トランプ大統領は「勝利者」か「卑劣な強盗」か 
ベネズエラ作戦をめぐり分かれる評価

  • 2026/2/11

 アメリカのトランプ政権は2026年1月3日未明、ベネズエラの首都カラカスなどを攻撃し、同国のマドゥロ大統領を拘束した。トランプ氏はかねてからマドゥロ大統領が「麻薬組織にかかわっている」と批判し、昨年9月以降には、「麻薬運搬船」とみなしたベネズエラなどからの船舶に対して攻撃を仕掛けていた。

 トランプ政権によるベネズエラの「掌握」について、世界各地でさまざまな意見が出ている。

護送されるマドゥロ氏 (c) Drug Enforcement Administration / wikimediaccomons

インド紙は「計画と実行は完璧」と評価

 インドの英字紙タイムズオブインディアは、1月5日付の社説「トランプの勝利」で、この行為を「評価」した。

 「好むと好まざるとにかかわらず、現時点でベネズエラはトランプ大統領のものだ。掌握したことの倫理性と法的な正当性に疑問を呈する人もいるが、計画と実行は完璧だった」。社説はこう述べ、ウクライナとベネズエラがともに3000万人以上の人口を抱える大国であることを指摘したうえで、次のように続ける。「トランプ大統領は、プーチン大統領が(ウクライナに対して)ほぼ4年もの間試みてきたことを、わずか2.5時間で成し遂げたのだ」

 同紙は、今回の作戦がトランプ第二次政権にとって、初めての「完全な成功」だと指摘する。インフレ、雇用、関税、投資、ウクライナやガザなどの和平交渉は、いずれも「不発に終わった」からだ。さらに社説は、トランプ大統領が議会の承認を得ず軍事作戦を実行したことについて、「過去にいくつも例がある」と述べ、「アメリカは大統領に最長90日間、軍事行動を単独で承認する権限を与えているため問題にならない」と、主張した。

「力こそ正義の時代」を憂うバングラデシュ紙

 一方、バングラデシュの英字紙デイリースターは1月4日付の社説で「私たちは力こそ正義という時代に突入しつつあるのか」として、この事件を論じた。

 社説は「外国の大統領を捕らえ、アメリカがベネズエラを統治すると宣言し、占領者の利益のためにその資源を搾取するというトランプ大統領の行動は他国の権利を露骨に無視したものであり、国際法や規範に対する根本的な違反と軽視だ」と述べる。また、アメリカの国益に対する直接的な脅威に対して「行動をもって対処する」とトランプ大統領が発言していることについては、「トランプ大統領と駆け引きはしないようにという、世界の指導者たちに対する深刻かつ憂慮すべき警告だ」と述べた。

 そのうえで、「われわれは国際社会に対し、国際法と規範を露骨に無視したこの行為を非難するように呼びかける。トランプ大統領の言動が、他の超大国に“今こそ自らの権力欲を満たす野望を実現する時だ”という誤った勇気を与えることのないよう願う」と、訴えた。

南アフリカ紙は「砲艦外交を止めよ」と批判

 また、南アフリカの週刊新聞、メール&ガーディアンも、1月9日付で「トランプの砲艦外交を止めよ」と題し、トランプ政権を批判する社説を掲載した。

 社説は「主権国家で選出された大統領を拘束するというアメリカの強硬な行動は、国際社会における法の尊重という基本的な信条に反するものであり、最も強い言葉で非難されるべきだ」と指摘する。そして、「トランプ大統領は、ブラックホークが世界のいろいろな首都に降り立ち、何の報いも受けることなく大混乱をもたらすハリウッド映画からインスピレーションを得ているに違いない」と、皮肉を込めて指摘する。

 さらに社説は、「ベネズエラの唯一の罪は、アメリカが支配を望んでいる重要鉱物資源を天然に有していることだ」と指摘し、「アメリカは、世界の警察官から卑劣な強盗へと変貌した」と、厳しく非難している。

 

(原文)

インド:

https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/coming-up-trumps/

バングラデシュ:

https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/are-we-entering-era-might-right-4073131

南アフリカ:

https://mg.co.za/editorial/2026-01-09-editorial-stop-trumps-gunboat-diplomacy/

 

 

 

 

 

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