高市早苗首相の誕生を南アジアはどう報じたか
スリランカとインドの報道に見る冷静な見方

  • 2025/11/17

 10月21日、日本の憲政史上初の女性首相が誕生した。高市早苗首相をアジアの国々はどのように見ているのか。外交デビュー前の記事だが、インドとスリランカの英字紙の社説を読み解く。

高市早苗首相(2025年10月22日撮影)(c) 内閣広報室/wikimediacommons

「日本の政治風景における地殻変動」

 スリランカの英字紙デイリーニューズは10月24日付の社説で、高市政権の発足を「日本の地殻変動」と呼んだ。「男性優位の日本において初の女性首相として高市早苗氏が就任したことは、同国の政治風景における地殻変動である」
 社説は高市氏の略歴について、「政治家一家ではない中流家庭に生まれた高市氏にとって、首相の座への道程は困難だった」と振り返る。「政治家としての地盤、看板、かばん」を生まれながらにして持ち得なかったことは、米国のトランプ大統領やウクライナのゼレンスキー大統領と類似している、とも指摘する。
 また、高市首相の就任が日本国内でどう受け止められているかについては、このように紹介している。「元ヘビーメタルバンドのドラマーである高市氏は、厳しい保守的な見解で広く知られる。これは自民党にとって好都合だ。なぜなら自民党は、右傾化を進めているからだ。だからこそ多くの女性は安倍派の高市氏が権力の中枢にのぼり詰めたことを『女性の勝利』とはみなしていない」。さらに「高市氏は長年、伝統的な性別役割を主張し、同性婚に反対し、天皇の男性のみによる継承を支持してきた」と述べ、同氏が日本の伝統的な社会的価値観を保持していることを強調した。また、「内閣の女性大臣比率を北欧並み、つまり50%近く」にまで引き上げることを公約していたが、実際には“わずか2人”しか任命されなかった」と書いている。
「地殻変動である」と言う割には、スリランカ紙の社説が高市氏に寄せる変革への期待は大きくはない。さらに、「鉄の女」とよばれたサッチャー英首相を尊敬する強硬派の高市首相が厳しい移民制限を主張し、中国との関係改善に暗雲がたれこめていることも指摘する。

「政治的中道の右傾化」

 インドの英字紙タイムズオブインディアは、10月5日付の社説で高市氏の自民党総裁就任を伝えた。首相指名選挙よりも前だが、同紙はいち早く「高市氏は日本初の女性首相となる見込みだ」と説明している。
 社説は、自民党総裁選出の瞬間を「サッチャー風の青いスーツ姿で、超右派政治家・高市早苗は歴史的瞬間を笑顔で迎えた」と表現する。
 そのうえで社説は、「男性優位の政治や社会全体に根付く深刻なジェンダー格差に変化をもたらすとは、ほとんどだれも期待していない」と厳しい。女性閣僚を増やすという公約も「象徴的なものに終わるだろう」と予想した。
なぜ自民党として初めての女性総裁が誕生したのか。社説は、「日本は単に世界的な潮流——反移民・反リベラリズムに駆り立てられた政治的中道の右傾化——に追随したに過ぎない」としている。そして「日本の政治は岐路に立っている」と指摘した。
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 日本国内では、高市氏の活躍に期待する声も高く、内閣発足当初の支持率は石破前政権に比べて高い。しかし海外のメディアは、「女性というだけで自動的に変化が起きるわけではない」と、きわめて冷静に見ている。

 

(原文)
スリランカ:
https://dailynews.lk/2025/10/24/editorial/881918/a-seismic-shift-in-japan/

インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/right-wrong-in-japan/

 

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