サイクロン・アンファンがバングラデシュに上陸
新型コロナがあぶりだす社会課題

  • 2020/7/23

 バングラデシュの海岸地域がサイクロン・アンファンに見舞われてから2カ月余りが経った。地元の英字紙デイリースターによると、今も多くの人が避難所暮らしを余儀なくされており、生活再建の目途が立っていない。7月20日付の社説はこの問題をとりあげている。

今年5月、バングラデシュに未曾有の規模のサイクロン「アンファン」が上陸し、大きな被害をもたらした。写真はクルナ管区サトキラで全壊した自宅にたたずむ女性(2020年5月21日撮影) (c) AFP/アフロ

15万人あまりが被災

 サイクロン・アンファンは5月16日にインド洋のベンガル湾南部で発生し、サイクロンの中でも最も強力な「スーパーサイクロン」に発達して同20日、バングラデシュに上陸した。バングラデシュでスーパーサイクロンが発生したのは、1999年以来、21年ぶりのこと。観測史上2回目となるこのサイクロンは、各地に大きな被害をもたらしている。

 社説は、南西部クルナ周辺で今も家に戻れず避難所で過ごす人々の様子を次のように伝えている。

「サイクロンがもたらした大雨によって5月20日、コポタッコ川の堤防が数カ所で決壊し、数千世帯の家が押し流された。地域の行政当局は急きょ、円形の仮堤防を築いて安全地帯を作り、内部への浸水を防いだが、結果的に、堤防外の家や農地、養殖池が水に沈み、人々は家も仕事も失った。被災者は15万人余りに上り、3万6,000世帯の家屋が半壊もしくは全壊。3,000ヘクタールの農地が甚大な被害を受け、4,000ヘクタールの養殖地が浸水した。2カ月経った今もなお、150以上の世帯が家に戻ることができず、避難所で暮らしている」

繰り返される悲劇

 おりしも、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大のさなかに九州地方を中心に豪雨が発生し、甚大な被害が出ている。バングラデシュでも、感染者は累計21万人余りに上り、感染拡大はいまだ抑制されていない。ウイルス対策に追われる中で自然災害にも見舞われた苦悩は深い。

 しかし、社説は「何をおいてもまずは目の前の危機から国民を救うべき」だと訴える。「政府は可及的速やかに避難所で暮らす人々の生活再建に取り組むべきだ。彼らが自宅に戻れるように現金と食糧を支援すると同時に、村の復興を急がなければならない」

 社説によると、バングラデシュ政府は毎年のようにサイクロンに見舞われる海岸地域に堤防を建設することを計画していると伝えた上で、「この計画が実現するまでにはあと数年かかる。それまで人々はどこでどう暮らせばいいのか。その対策こそ、政府にとって最大かつ喫緊の課題だ」

 新型コロナウイルスの感染拡大が長引くにつれ、政府や行政が先延ばしにしてきた課題が今、次々に露呈している。毎年のように起きる自然災害に、なぜ備えができていなかったのか。なぜ、毎年、多くの犠牲を出すことになるのか。今回、バングラデシュであぶり出された課題はサイクロン対策だが、どの国でも同じように新型コロナウイルスによってさまざまな社会課題があぶり出されようとしている。

 

(原文:https://www.thedailystar.net/editorial/news/cyclone-affected-people-living-shelters-two-months-1932921)

 

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