人口ボーナスに支えられる新興国で社会に出られない若者たち
「働けない若者」と「学べない子ども」──社会の土台を揺るがす二つの課題

  • 2026/7/19

 紛争や貧困が蔓延する時代を乗り越えつつある新興国は、若年層の人口が増え、経済成長のただなかにある。その国力は「人口ボーナス」とも呼ばれる労働人口の増加に支えられているが、中心となる若年層の教育や就労には、高い壁が立ちはだかっている。

中部ルソン・パンパンガ州の学校で学ぶ子どもたち© Judgefloro / wikimediacommons

雇用の拡大を求めるインドネシア紙

 「人口ボーナス」とは、生産年齢人口が非生産年齢人口を上回る状態をいう。その恩恵にあずかる典型的な新興国、インドネシアでは、むしろ人口ボーナスが「急速に国家の重荷」になっているという。英字紙ジャカルタポストは、6月10日付の社説「仕事のない私たちの若者」でその問題を指摘した。

 2025年10月に発表された世界銀行の経済リポートによれば、インドネシアの若年層失業率は17.3%に達している。これは、インドに次いでアジアで最も高い水準だという。社説は、「幸運にも職を得た若者でさえ、正規部門に就いているのはわずか40.58%」だと指摘する。つまり、過半数の就労している若者は、不安定な収入、セーフティネットの欠如、キャリアパスの不在といった非正規雇用の現実のただなかにあるのだ。

 社説によれば、インドネシア政府は、こうした状況を改善するために新卒者と民間企業をつなぐ全国的なインターンシッププログラムを立ち上げたという。この取り組みには多くの新卒者が参加しており、正社員としての雇用につながる道筋が提供されるとして歓迎されている。

 しかし社説は、「問題はこのインターンシッププログラムで解決できる範囲をはるかに超えている」と指摘。「このプログラムを、職業訓練校の卒業生へと拡大することが必要だ」と主張する。また、「政策立案者は、主要な労働危機の原因が、雇用可能な労働者の不足ではなく、雇用の深刻な不足にあることを認識しなければならない」と述べ、雇用そのものを増やす取り組みが必要だと訴えている。

フィリピン紙は劣悪な学習環境を危惧

 一方、教育現場の資金不足を嘆くのは、フィリピンの英字紙フィリピン・デイリーインクワイアラーだ。6月8日付の社説でこの問題を取り上げ、「教育現場で解決すべき課題は山積みだ」と訴えた。

 社説によると、フィリピン国内の学校で不足している教室の数は13万6000室に上るという。教室が足りないゆえに多くの学校で過密状態が発生しており、生徒たちは一つの教室に最大60人も詰め込まれ、「騒がしく混沌として、学習の妨げになる状態」だという。不十分な換気や集中力の欠如も問題視されている。

 さらに社説は、教員への過剰な負担など、教育現場にはさまざまな課題が山積みだと指摘。そして、「国連児童基金(ユニセフ)によると、フィリピンの学習者は、同じような経済状況にある国の同年代の生徒に比べ、5~6年分の学習の遅延を抱えている」と述べる。

 社説は、現マルコス政権に対し、「より多くの教室を建設しなければならない。より多くの教師や支援スタッフを採用しなければならない。教材は期日通りに届けられなければならない」と訴える。あまりにも当たり前のことが優先されない社会、子どもや若者の未来に十分な投資がされない社会であってはならない。

 

(原文)

インドネシア:

https://www.thejakartapost.com/opinion/2026/06/10/our-jobless-youth?utm_source=(direct)&utm_medium=channel_editorial

フィリピン:

https://opinion.inquirer.net/192243/new-school-calendar-same-crisis

 

 

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