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『月刊ドットワールドTV』#13 和平合意から10年 コロンビアに平和は訪れたか
進まぬ社会改革と麻薬対策 終わらない抗争のなかで
- 2025/9/19
ドットワールドと「8bitNews」のコラボレーションによって2024年9月にスタートした新クロスメディア番組『月刊ドットワールドTV』が、13回目のライブ配信を行いました。今回は、ナビゲーターを務めるドットワールド編集長の玉懸光枝が、フォトジャーナリストの柴田大輔さんを東京のスタジオに招き、8bitNewsの構二葵さんとともに伝えました。
20年にわたり中南米を取材
13回目となる番組は、「コロンビア 和平の実現から10年を前に現地の人々は今」と題し、9月18日の日本時間20時から8bitNews上で配信されました。
1819年にスペインから独立したコロンビアでは、自由党と保守党による議会政治が行われてきた一方、両者の対立により内戦が繰り返され、1959年のキューバ革命の影響を受けて1964年以降、コロンビア革命軍(FARC)をはじめ複数の左翼ゲリラが誕生した後は、武力闘争も行われるようになりました。2016年8月にFARCと政府の間で和平合意が実現し、長年にわたる内戦が終結して来年で10年を迎えようとしていますが、現地では依然、厳しい状況が続いているといいます。
そうした現地の様子を伝えるために、ドットワールドでは、「コロンビア和平から10年 混乱する農村から」と題した緊急連載を5回にわたり掲載しています。連載の執筆者であるゲストの柴田さんは、2006年より約20年にわたって現地への訪問や長期滞在を繰り返し、コロンビアをはじめ、中南米諸国の人々の暮らしを伝え続けてきました。今年5月から6月にもコロンビアのナリーニョ県とカウカ県を訪ねています。
番組の冒頭では、柴田さんがこれまでドットワールドに寄稿した記事のうち、何本か紹介しました。例えば「社会を読み解く」の「ラテンアメリカの今を届ける 第8回 「独裁体制への転換が完成」したニカラグアを読む」(2023/9/4付)では、かつて40年以上続いた独裁政権から国民を解放し、「革命の英雄」と呼ばれたオルテガ大統領が、独裁者として言論統制や恐怖政治を強めつつあるニカラグア社会を解説しています。また、「世界写真館」では、同じくニカラグアで政府支持者たちが革命記念日を花火とともに祝う姿を切り取った「革命40周年の夜」(2025/7/7付)の写真を紹介しつつ、写真に写っていない、政権に虐げられている人々の存在にも言及しました。さらに、地雷で亡くなった男性を悼み、森の中でたたずむコロンビアの男性の姿を写した「平和への思い」(2019/9/3付)の写真も紹介しました。
戦禍にさらされ続ける周縁化された人々
続いて柴田さんは、今回の緊急連載に込めた思いについて、「2016年の和平合意締結は日本でも大々的に報道されたが、距離の遠さもあり時間の経過とともに顧みられなくなっている。この10年の歩みと現地の今を伝え、再度、関心を喚起したい」と語り、各回の内容を紹介しました。
「【コロンビア和平から10年 混乱する農村から】①「第二次戦争」の村で」(2025/9/17付)では、一時、国土の3分の1を実効支配したとされるFARCの支配地域を2016年以降に政府が十分に統治できなかったため、複数の武装勢力や麻薬組織が権力の空白を狙って村々に入り込み、抗争が激化している実態が描かれています。柴田さんは、かつて週末の夜には大音量のラテン音楽が鳴り響き、遅くまで賑わっていた町から人の姿が消えた様子とともに、平和への期待を打ち砕かれた市民の思いを伝えました。
また、「【コロンビア和平から10年 混乱する農村から②】農村における和平合意の挫折」(2025/9/18付)では、和平合意の6項目の一つであった麻薬問題の解決が進まず、代替政策が崩壊して農家がコカ栽培から抜け出せない実態が描かれています。柴田さんは、「代替作物を栽培しても、市場に運ぶ手段や道路がなければお金にならない。麻薬のない状態を実現するためには、社会インフラの整備や生活サポート、地方行政や業者らによる汚職の撤廃など、包括的なアプローチが必要」だと指摘しました。
さらに柴田さんは、公開前の第3回、第4回、第5回についても、写真とともに、記事の内容を紹介。第3回では、武力闘争により12万人もの人々が失踪している実態や、遺体の身元を特定して遺族に引き渡す国家機関の取り組み、兄夫婦を探し続けてきた男性の思いなどを描いたと話しました。また、第4回と第5回では、旧FARC系武装組織をはじめとする複数の麻薬組織が利権を巡って激しく対立するなか、搾取と暴力に苦しみ続けてきた人々が自立のために有機コーヒーの栽培に乗り出したり、女性グループを立ち上げたり、自文化と権利を守るために非武装の自衛組織を組織したりする姿が描かれます。
そのうえで、柴田さんは連載全体を振り返り、「コロンビアの中にも、欧米からの観光客で賑わう町や、コロナ禍以降の経済状況の立て直しに直面している都市部もあれば、今回、取材したような、いまだに続く武装グループ同士の抗争と隣り合わせの日々のなかで命の危険にさらされながら生きている先住民族の村もあり、社会の分断が深まっている」と指摘。さらに、「長年、村に通ってきたが、今年5月の訪問時には、これまでで最も状況が厳しいと感じた」と振り返りました。
さらに、「そうしたなかでも、自分たちの村を変えようと、自らの命を顧みず動こうとしている人々がいる。自分は報道者として彼らの発信を受け止め、日本や国際社会に訴えることで、コロンビアの状況の変革につなげたい」「ぜひ、今回の連載を機にコロンビアに関心を寄せてもらえたら」と、熱く語りました。
反移民の時代にオランダで移民ミュージアムが誕生
番組では、それ以外の新着記事も駆け足で紹介しました。
「社会を読み解く」からは、反移民の機運が世界的に高まるなか、オランダ・ロッテルダムに誕生した「移民」がテーマのミュージアム「フェニックス」を紹介する駒林歩美さんの記事「反移民の時代にアートを通じて「移民」の意味を考える意義」(2025/8/29付)を紹介しました。同館では、写真や絵画、そしてオブジェなど、さまざまなアートの展示を通じて、移住が昔から続いてきた営みであることが繰り返し示されているといいます。駒林さんや、「一つ一つが移民の一家に対する想像をかき立てると同時に、彼らの扱われ方に関する矛盾について考えさせる内容だ。さまざまな人間性、ストーリーを知ることで、政治化され、見えなくなっている移民という存在に対するイメージが大きく変わると言えるだろう」と、記事の中で述べています。
また、「報道を読む」からは、「急増する移民労働者の尊厳と権利を守れ」(2025/8/26付)、「頻発する洪水 アジア紙は“気候危機への長期戦略”を訴え」(2025/8/31付)、「イエメンでフーシ派が国連事務所を襲撃」(2025/9/4付)、「フィリピンで日本人射殺事件が発生 「安全」課題が浮き彫りに」(2025/9/9付)、「米ロがウクライナ問題を協議 譲歩を迫られるゼレンスキー大統領」(2025/9/13付)、「TICAD9 アフリカは日本への期待をどう報じたか」(2025/9/16付)の記事を紹介しました。
「世界写真館」からは、写真家の小池隆さんが、ミャンマーのシャン州西部にある鉄道橋(ゴッティ橋)を渡る列車を撮影した「【Pray for Myanmar】ゴッティ橋を渡る列車」(2025/9/6付)を紹介しました。100年以上前に建設された、世界で二番目に高いと言われるゴッティ橋は、その壮大な姿から多くの人々を魅了してきましたが、8月末に崩壊したと伝えられています。
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2024年9月に始まったドットワールドと8bitNewsとのクロスメディア番組「月刊ドットワールドTV」は、おかげさまで2年目に入りました。これからも両メディアを通じて、より多くの方々に記事とメッセージをお届けしていきます。
現地の人々から見た世界の姿やさまざまな価値観、喜怒哀楽を伝えることで、違いを受容し合える平和で寛容な一つの世界を実現する一助となることを目指すドットワールドを、引き続きどうぞ宜しくお願いします。













