頻発する洪水  アジア紙は“気候危機への長期戦略”を訴え
増える水害に追いつかぬ都市計画、滞る資金調達

  • 2025/8/31

 世界各地で洪水が頻発し、深刻な影響を与えている。被害が出ているのは、洪水防止のためのインフラ整備がぜい弱な途上国に限らない。先進国においても、過去に例のない規模の被害が生じている。7月にはアメリカ南部テキサス州で大規模な洪水が発生し、100人を超える住民が死亡した。

(c) Dibakar Roy / Unsplash

計画から13年経っても進まぬ洪水対策
 フィリピンの英字紙デイリー・インクワイアラーは、7月13日付の社説でこの問題をとりあげた。
 社説は冒頭で、アメリカのテキサス州やニューメキシコ州で発生した洪水によって多くの犠牲者が出たことに言及。さらに、東京についても「現代的なインフラと効率的な災害対策で知られる都市であるにもかかわらず、記録的な大雨により道路が浸水した」と指摘し、世界各地で洪水被害が広がっていることを憂いた。さらに、「こうした光景はフィリピン人にとってはなじみ深いものだ」としたうえで、「豪雨の影響を軽減するための対策が不十分であることのあらわれだ」と主張する。
 そのうえで社説は、フィリピン政府当局の対応について、「雨季のたびに同じ警告を繰り返している」と非難し、「フィリピンには洪水対策のマスタープランがなく、2012年に承認された洪水対策も3割程度しか完了していない」と述べる。
 さらに、洪水リスクが高い地域を開発するためには、雨水を吸収できるオープンスペースや湿地帯の整備が必要であり、無制限な都市開発は避けるべきだと指摘し、こう訴えている。
 「気候変動が進行する今日、洪水はもはや季節的なものとは言えず、状況は今後、さらに悪化するだろう。その際、被害を受けるのは、貧困層と社会的にぜい弱な層である」

資金の公正な配分を」
 洪水の被害が相次いでいるバングラデシュでは、英字紙デイリーニュースが7月10日付の社説で「長期的な気候変動対策が必要」だと訴えた。
 社説は、最近のバングラデシュにおける洪水被害を列挙した後で、「自然の猛威を止めることはできないとしても、効果的な対策がなされていれば被害を大幅に軽減できたはずだ」と主張。対策が進まなかった理由として、「政治的混乱と地方自治の機能不全によって救援活動が妨げられたため」だと述べた。
 社説は、7月上旬に開かれた災害対策の諮問委員会の席上、気候変動に対応するインフラ整備と持続可能な解決策を検討するための資金調達の在り方について議論が行われたことに言及。「政府がこうした取り組みを早急に進めるよう求める」と述べると同時に、「我が国のように、気候変動による影響を強く受ける国の負荷を減らすためには、国際的な気候変動資金が公平に配分されるべきだ」と訴えた。

乾季の豪雨に募る危機感
 インドネシアでも、本来であれば乾季であるはずの7月に豪雨に見舞われた。現地の英字紙ジャカルタポストは、7月12日付の社説「7月の降雨」で、この問題を取り上げた。
 「ようこそ、新しいインドネシアへ」。季節はずれの大雨に見舞われたことを、社説はユーモアをまじえてこう表現しているが、事態は深刻だ。
 「7月の季節外れの激しい雨と、それに伴い発生した水害は、気候変動がわれわれの日常を脅かす危機であり、その影響がいかに大きいものであるかを改めて浮き彫りにした」と、社説は指摘する。ジャカルタなどの大都市でも、今回の豪雨によって高速道路が浸水したり、高級ショッピングモールが泥水に浸かったりする被害が出て、その映像がSNS上でも拡散されたという。
 同国では、ジャカルタだけでなく、西ヌサ・トゥンガラ州など、他の地域でも甚大な被害に見舞われた。社説は、「気候危機は今後、さらに悪化する。その前に、今こそ準備と行動を起こす時だ」と訴えている。


(原文)
フィリピン:
https://opinion.inquirer.net/184622/broken-flood-control-record

バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/we-need-long-term-climate-solutions-3936956

インドネシア:
https://www.thejakartapost.com/opinion/2025/07/12/rainy-days-in-july.html

 

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