米ロがウクライナ問題を協議 譲歩を迫られるゼレンスキー大統領
レッドカーペットにキャデラック 対米外交でロシアが復権 

  • 2025/9/13

 アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が8月15日、アメリカのアラスカ州で会談した。米ロ首脳会談は4年ぶりで、ウクライナ問題などが協議された。しかし、両首脳が「ウクライナ抜き」で協議を行ったことに対してはウクライナのゼレンスキー大統領をはじめ反発も強く、米ロ首脳会談後も事態に大きな変化は見られない。

アラスカ州アンカレッジで会談を行ったアメリカのドナルド・トランプ大統領(奥)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2025年8月15日撮影)(c) The White House / Wikimedia commons

アメリカが示したプーチン大統領の優位性

 スリランカの英字紙デイリーニュースは8月18日付で「ウクライナ、今後の展開」と題した社説を掲載した。
 社説は米ロ首脳会談について、「即時に平和をもたらすものではなかった」と批評。会談にゼレンスキー大統領が不在であったことについては、「食卓についていなければ、あなたは料理のメニューに過ぎない」という欧州の格言(編集注:交渉や決定の場に参加できなければ、他人のいいように決められても仕方がない、という意味)を引用して表現した。
 そのうえで社説は、今回の米ロ首脳会談は「明らかにプーチン大統領が勝利者だ」と評する。
 「プーチン氏はアメリカで見事に外交の表舞台に躍り出た。国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発行したことでプーチン氏の海外渡航は著しく制限されていたが、アメリカはICCの締約国ではないため、プーチン氏もアラスカでは危険にさらされなかった。それどころか、プーチン氏の大統領専用機IL-96は、アメリカ空軍の戦闘機数機に護衛されながら空港へ入り、プーチン氏は着陸後、レッドカーペットで歓迎を受けた。さらにアメリカ大統領専用のキャデラック「ビースト」にも乗車した。こうした特権は通常、イスラエルのネタニヤフ首相にさえ与えられないものだ」
 社説は、この会談の詳細は明らかにはなっていない、としながらも、おそらくトランプ大統領は、「モスクワを敵に回さず、さらなる交渉でウクライナ紛争解決を目指すつもりなのではないか」と指摘した。

クリミア半島割譲の「苦い薬」

 一方、インドの英字メディア、タイムズ・オブ・インディアは、首脳会談に先立つ8月10日付で「ゼレンスキー氏の出口戦略」と題した社説を掲載した。
 社説が、ウクライナ問題の解決のカギとして注目するのは、「クリミア問題」だ。米国のトランプ大統領は今年4月、ニュース雑誌『タイム』のインタビューに答え、「クリミアはロシアにとどまる。ゼレンスキー氏も理解している」と語った。しかし、トランプ氏大統領のこの発言について、社説は「クリミアがロシア領であることはゼレンスキー氏にとって既成事実ではない。彼は、『ウクライナ国民は、占領者に土地を贈与しない』と明言している」と述べている。
 社説は、クリミアの領土割譲を認めようとしないゼレンスキー氏の心情について、「インド人としては共感できる」と指摘した。「パキスタンは75年以上もカシミールの一部を不法占領しているが、インドは決してそれを承認しない。事実上の支配と法的支配には、明確な違いがあるのだ。だが、仮にウクライナがロシアによるクリミア占領を正式に承認すれば、ロシアによる領有権の主張は永久に消滅する。トランプとプーチンがどのような合意をするとしても、これが最大の争点となるだろう」
 さらに社説は、ウクライナ問題の解決に向けた今後の展開について推測する。前提として、社説はウクライナ国民が40カ月以上にわたり莫大な犠牲を払って戦ってきたことを挙げ、「トランプ大統領が支持する形で平和を手にすること、つまり領土割譲などロシアが主張する条件を受け入れることは、国民にとって耐えがたいに違いない」と、推察する。
 そのうえで社説は、「それでもゼレンスキー大統領はこの苦い薬を飲まなくてはならない」と主張する。トランプ大統領の仲介の合意を拒否すれば、軍事支援や援助が打ち切られる可能性があるからだ。また、経済的な打撃も耐えがたい水準になっている。「受け入れがたい既成事実ではあるが、同時に現実的な出口戦略でもある」。ウクライナの心情を理解しつつも、現実的な選択を、と社説は結論付けている。

 

(原文)
スリランカ:
https://www.dailynews.lk/2025/08/18/editorial/837205/ukraine-the-next-steps/

インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/zelenskyys-off-ramp/

 

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