イスラマバードのテロ事件で浮き彫りになったインドとパキスタンの深い溝
非難の応酬を続ける両国 長年の対立関係が再び深刻化か

  • 2025/12/6

 パキスタンの首都イスラマバードの裁判所近くで11月11日、自動車が爆発し、12人が死亡、少なくとも27人が負傷した。自爆テロとみられている。

イスラマバードで自動車爆弾が爆発し、複数名が死亡した瞬間の監視カメラの静止画 (c) wikimediacommons

インドのテロ関与をほのめかすパキスタン政府

 パキスタンの英字紙ドーンは11月12日付の社説で、「長い沈黙の後、テロが首都に戻ってきた」と書いた。「テロリストは国内で最も安全とされる都市の一つを襲撃したのである」と報じた。
 社説によれば、シャリフ首相は今回のテロについて、「この地域におけるインドの国家テロリズムの特徴を示している」と述べたという。さらに首相は「パキスタン国内の反政府勢力であるパキスタン・タリバン運動やバロチスタン分離主義者と関連する過激派が関与している」とも発言。国防相も「われわれは戦時下にある」と、危機感を煽るような警告を発したという。
 インドやアフガニスタンの関与を示唆するかのようなパキスタン政府の見立てについて、社説は、「テロ事件の背後に潜む勢力を暴き、これらの凶悪犯罪の実行者を法の下で裁くためには徹底的な調査が必要だ。もしインドやアフガン・タリバンがこれらの攻撃に関与した証拠が発見された場合は、ただちにインドやアフガニスタンに問題を提起しなければならない」と述べる。
 そのうえで社説は、「この危機への対応には国家的な取り組みが必要だ」、「政府のみならず、野党、安全保障の専門家、市民社会を含むすべての関係者を巻き込み、テロの暴力に対して結束して対応すべきだ」と、訴える。
 「あらゆる意見に耳を傾けることでパキスタンはこの危機を乗り越え、テロリズムと過激主義を打ち負かす強さを獲得できるのだ」

インドは「パキスタンは妄想状態」と反論

 一方、インドの英字紙タイムズ・オブ・インディアは、今回のテロ事件にインドの関与を示唆したパキスタン政府に対し、11月12日付の社説で「パキスタンは依然として妄想状態にある」と、激しく反論した。
 社説は、シャリフ首相がインドとアフガニスタンを非難したことについて、「パキスタン自身の失敗から責任を転嫁しようとする稚拙な試みであり、滑稽としか言いようがない」、「パキスタンは国内でテロリストが暗躍する環境を許しながら“テロの被害者を装って”おり、挙句の果てには自らの罪を他者に押し付けようとしている。まったく皮肉な話だ」と切り捨て、こう述べる。
 「パキスタンは、アメリカと中国の双方と友好関係を築き、救済が必要な時にはどちらに頼ることもできると考えているようだが、大切なことを忘れている。本来、国の力というものは熟練した人材、制度、経済に由来するが、パキスタンでは軍が他の優先事項を抱えているため、いずれも発展しなかった」
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 今回のテロをめぐるパキスタンの発言とインド側の反発は、両国の根深い不信感を反映していると言える。特に今年になって両国関係は再び緊張度が増しており、今回の非難の応酬も、この文脈の中で生じたものである。
 例えば、パキスタンで今回の自爆テロが起きる前日にも、インドのニューデリー中心部でも車が爆発する事件が発生している。また、インド、パキスタン両国は5月、係争地のカシミールでインド人観光客が襲撃された事件を発端に、軍事衝突を起こした。その後、両国はアメリカの仲介によって停戦したが、互いへの不信感が浮き彫りになった。
 なお、この停戦について、アメリカのトランプ大統領は、「アメリカの仲介によって合意が成立した」と発表。ノーベル平和賞に強いこだわりを持つとされるトランプ大統領は、「停戦」を自身の手柄にしたいと考えたとみられているが、インド側はアメリカの関与を重視していないという。いずれにせよ、南アジアで長年続く対立は依然としてこの地に深く根を張っており、今回のテロを機にさらに関係が悪化することが懸念される。


(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1954625/capital-terrorism

インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/jokes-on-pak/

 

 

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