停戦合意を「嘲笑」するイスラエルのネタニヤフ首相
和平の実効性に強い懸念を示す南アジア諸国

  • 2025/11/14

 10月10日、ガザ地区における停戦が発効し、ハマスは拘束していた48人の人質のうち、生存している20人全員を解放するとともに、4人の遺体をイスラエル側に返還した。しかし、イスラエルはその後、ハマス側が停戦合意に違反したと主張して10月28日に空爆を再開した。ガザ当局によると、この空爆によって、少なくとも子ども46人と女性20人を含む104人が殺害されたという。

空爆により破壊されたガザ地区ラファ地区(2025年1月撮影)/wikimediacommons

パキスタンはイスラエルの戦争責任を厳しく追及

 パキスタンの英字紙ドーンは、「中東和平?」と題した10月15日付の社説で、「イスラエルがパレスチナ人の正当な権利を否定し続ける限り、暴力の連鎖は永遠に続く」と述べ、今回の停戦合意のもろさを指摘した。実際、現実はその通りの状況が続いている。
 社説は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開かれた国際会議において、アメリカのトランプ大統領が、パレスチナとイスラエルの紛争、そして自身のガザ和平計画について、自己満足に満ちた口調で「長く苦しい悪夢はついに終わった」と宣言したことを報じたうえで、「トランプ大統領の計画には、実質的な内容はほとんどない」と断じた。
 さらに社説は、そのシャルム・エル・シェイクにおける「平和祝賀」の席で、「ガザの虐殺についてイスラエルの戦争責任が一切、追及されなかった」としたうえで、「残念ながら、イスラエルというシオニスト国家は、ナクバ(大災難)(*編集部注:1948年のイスラエル建国に伴いパレスチナ人が故郷を追われ、難民となった出来事)以来、数十年にわたってパレスチナ人を殺害し、傷つけ、奪いながら、あたかも法を超越した存在であるかのように振る舞ってきた。そうした過去の行為が罰せられなかったからこそ、イスラエルは今回、ガザ虐殺を強行する自信を得たのである」と、指摘した。

スリランカは住宅再建の困難さを懸念

 スリランカの英字紙デイリーニューズは、10月17日付の社説「ガザを再び居住可能な状態に」で、停戦合意から復興への道のりの困難さを予測した。
 社説によると、ガザ全域で損壊した住宅は28万戸以上に上り、再建には700億米ドルが必要だという推計を紹介した。
 「和平合意が予定通りに進むならば、最大の課題はほぼ完全に破壊されたガザ地区の復興と再建だ。残された病院や学校はごくわずかであり、多くの住民にとって自宅に戻れたとしても待っているのはがれきの山で、ゼロから再建するより状況は困難だ。砂漠から始めるのではなく、がれきから始めるのだから」

「和平計画」の次フェーズを疑問視するインド

 インドの英字紙ヒンドゥーは、10月31日付の社説「ネタニヤフは停戦合意を嘲笑している」で、停戦合意後のイスラエルの空爆を厳しく批判した。
社説は10月28日の空爆で104人の命が奪われたことを指摘し、「この攻撃の後、イスラエル側は停戦が再開されたことを発表した。イスラエル側がパレスチナの民間人に壊滅的な攻撃を自由に行えるのだとしたら、イスラエルが守っている『停戦』にはいったいどんな意味があるのだろうか」と憤る。
 そのうえで社説は、「停戦がパレスチナの人々に一時的な休息をもたらし、人質の解放を可能にした」ことに一定の評価を示しながらも、「信頼できる執行メカニズムが全く存在しないため、きわめてぜい弱だ」と、指摘する。
 「相互に深い不信感があるにもかかわらず、主にアメリカの圧力によって停戦が合意された。ハマスは猶予を必要とし、イスラエルは人質の解放を求めた。トランプ大統領が掲げる和平計画では、次のフェーズでさらなる議論を呼ぶことは間違いない。ハマスがいまだ同意していない武装解除を求めているからだ。トランプ大統領が和平の推進に本気なのであれば、自ら計画を主導し、双方が約束を遵守する仕組みを構築すべきだ」と、社説は提起している。

 

(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1949021/mideast-peace

スリランカ:
https://www.dailynews.lk/2025/10/17/editorial/877570/making-gaza-habitable-again/

インド:
https://www.thehindu.com/opinion/editorial/meaningless-truce-on-netanyahu-the-gaza-ceasefire/article70221700.ece

 

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