ケニアの家政婦たちが直面する苦境
新型コロナ対策で相次ぐ雇い止め

  • 2020/12/30

最も脆弱な人々に届かない支援

 新型コロナがケニアで確認されてから、約10カ月が経過した。この間、ケニア政府は感染対策を相次いで発表し、感染を食い止めるために躍起になってきた。感染対策は、時として産業や市民生活への打撃をいとわないものであったが、未知なる脅威に対応するために、人々もできる限りの協力と理解を示してきたと筆者も理解している。

 しかし、オフィスや自宅で可能なリモートワークは、業務上、物理的な接触を避けることができない彼女らには無縁のものであり、雇い主たちが感染対策に取り組もうと思えば、家政婦を雇い止めするよりほか方法がない。雇い止めにあった家政婦たちは神に祈るしかないのが現実であり、経済的に脆弱な彼女たちの負担は限界に達している。

労働組合が提供した支援プログラムに参加する家政婦ら ©KUDHEIHA

 未知の感染症がまん延し、社会保障や医療対策の支出が増える中、ケニアを含めたサブサハラ諸国の債務は増加の一途をたどっている。各国政府はパリクラブや世銀などから債務取り消しや支払い期限の延長を求めて奔走しており、ある意味で助ける側ではなく助けを求める側でもある。そのような状況下、家政婦を支援する対策を政府が行う余力はあるか。状況は極めて難しいと言うしかない。

 前述の労働組合は2020年7月、外部機関の支援を受けてカウンセリングと食糧支援を行うことを決定。家政婦たちは続々と参加し、助けを求めてきたという。支援の輪を広げることで、一人でも多くの家政婦が窮地を脱することを祈っている。

 

固定ページ:
1

2

関連記事

ランキング

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  2.  ミャンマーで2021年2月にクーデターが発生して丸3年が経過しました。今も全土で数多くの戦闘が行わ…
  3.  2024年1月13日に行われた台湾総統選では、与党民進党の頼清徳候補(現副総統)が得票率40%で当…
  4.  台湾で2024年1月13日に総統選挙が行われ、親米派である蔡英文路線の継承を掲げる頼清徳氏(民進党…
  5.  突然、電話がかかってきたかと思えば、中国語で「こちらは中国大使館です。あなたの口座が違法資金洗浄に…

ピックアップ記事

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  2.  フィリピン中部、ボホール島。自然豊かなリゾート地として注目を集めるこの島に、『バビタの家』という看…
  3.  中国で、中央政府の管理監督を受ける中央企業に対して「新疆大開発」とも言うべき大規模な投資の指示が出…
ページ上部へ戻る