【イベント報告】コロナと途上国、日本の役割を考えるZoomセミナーが緊急開催
収束の見込みや今後の国際協力を議論、約300人がライブで視聴
- 2020/5/30
チャット画面で質問の受け付けも
第3部は、コーディネーターのMalaria No More Japan理事、長島美紀氏が参加者からチャット上で寄せられた質問を紹介し、リソースパーソンが回答するQ&A形式で進められた。
まず、「寄付金の減少が見込まれる中、人道支援の財源をどう確保するか」という質問に対しては、藤田氏が「個人、あるいは企業のCSR活動を通じた寄付に加え、新たな形の財源を模索したい」「企業のインセンティブを掘り起こす垣根を超えたチャネルの立ち上げなどを検討中」と答えた。また、一次補正予算840億円の使途について問われた山内氏は、「この金額は外務省所管分の数字で、主に国際機関への拠出に充てられる」と説明した上で、新設される「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」に2,491億円が充てられる予定であることや、1人あたり10万円支給される持続化給付金の一部を寄付してもらう可能性を示唆した。
子どもや難民・移民、女性など、「弱者」と呼ばれる人々への影響に関する問いに対しては、石原氏は「レソトでは国民の半分が貧困層であり、コロナ禍によって女性へのDVも増加していると言われる。支援を必要としている“弱者”の見定めが難しい」と指摘。また千葉氏は、ケニアのキベラスラムで出会ったがん患者の子どもがコロナを理由に病院で診察を拒否された事例を紹介した。
また、「国際的な移動規制や途上国内のロックダウン政策を途上国支援の文脈からどう評価するか」という質問には、青木氏がチリで2週間前にモールを再開したところ、再び感染が拡大し2回目のロックダウンに入っていると紹介。その上で、「貧困層は貯金もなくその日暮らしを強いられており、ロックダウンの継続は実質的に不可能」との見方を示した。石原氏は「レソトは感染者が2人にとどまっているが、隣国の南アでは2万人の感染が確認されている」「両国の間には幅2メートルの川が流れているだけで往来も多く、チェックできていない」と指摘。「世界銀行は現在、携帯電話会社と連携し、人の行動を追跡するシステムを検討している」と明らかにした。
学生参加者から「今のうちにしておくべきことは何か」と問われた國井氏は、「国際協力には頭(知識)とハート(情熱)が大切。専門性を高めるとともに、コロナが収束したらぜひ現場に行き、肌で感じ、目で見て、触れて、食べて、お腹を壊す体験をしてほしい」と呼びかけた。第3部では、このほかにもウィズコロナ時代のリモート支援の在り方や、支援を必要としている「弱者」を見極める難しさについて意見交換が行われた。
今回のオンラインサロンは、事前の打ち合わせから告知、開催まですべてZoomで進められ、企画から1週間あまりでスピード開催された。当日は、国際協力の実務者から学生まで約300人がZoomまたはYouTubeの同時配信を通じリアルタイムで接続。進行中は、開発メディアganasの協力で発言者の要旨がチャット上に随時アップされたほか、寄せられた質問にリソースパーソンが直接、自身の見解を書き込んだりする場面も見られ、オンラインならではの双方向のイベントとなった。当日の録画は以下より視聴できる。