終わらぬ戦争 「老人が語り、若者が死ぬ」
対話による「出口」を模索するパキスタン紙と、若者に犠牲を強いる指導者を問うインド紙
- 2026/9/2
アメリカとイランの戦争は、対立が解かれないまま膠着状態に陥っている。ウクライナやガザでも戦闘は終わっていない。しかし、大きな「動き」がなくなるにつれ、一時は連日のように報じられた戦争がメディアで取り上げられる機会もめっきり減った。
そうしたなか、自らイランとアメリカの和平を仲介してきたパキスタンは、経済的な圧力ではなく外交による解決をあらためて訴えた。一方、インド紙はイランとウクライナで続く戦争を見つめ、「これは誰の戦争なのか」と問いかける。戦争が長期化するなか、二つの社説が問う「出口」と、その代償を考える。
制裁ではなく外交を 「泥沼」からの出口を訴え
パキスタンの英字紙ドーンは、8月26日付の社説「Dual approach(二つのアプローチ)」で、「アメリカとイランの対立を解決するために、現在、二つの異なるアプローチが同時に進められている」と指摘した。
一つは、パキスタンなどが中心になって一度とりまとめた「イスラマバード覚書」を復活させ、平和的な解決を図るという「より成熟した」アプローチ。もう一つは、アメリカが経済制裁によってイランへの圧力を強める「より好戦的」なアプローチだ。
社説によれば、テヘランを訪問したパキスタンの国防軍総司令官は、イランの大統領をはじめとする指導者らと会談し、イラン側がイスラマバード覚書へのコミットメントを維持していることを確認した。しかし、イラン側は「われわれはアメリカを信用していない」としており、社説は「この相互不信こそが、覚書を具体化する最大の障害だ」と指摘する。
一方、アメリカが進める経済制裁については、「イラン側の態度を硬化させるだけで、効果は期待できない」との見方を示し、「イランは半世紀近くにわたり、アメリカによる過酷な制裁を乗り切ってきた」とし、「新たな制裁により苦痛は増しても、イランが屈服する可能性は低い」と論じる。
そのうえで社説は、「必要なのは、圧力ではなく外交だ」と指摘。アメリカとイランの双方、とりわけアメリカに、新たな外交的取り組みを生かして覚書の実現を目指すよう求める。アメリカは「敵対的な言葉」をやめ、イランとの真の理解を図るべきだとしたうえで、「傷ついた名誉の残りをかき集めて、この泥沼から速やかに脱出するのが最善だ」と、厳しく忠告している。
「これは誰の戦争なのか」 犠牲になる若者たち
「泥沼」に陥っているのは、アメリカとイランだけではない。ウクライナとロシアの戦争もまた、終わりが見えないまま長期化している。
インドの英字メディア、タイムズオブインディアは、8月16日付の社説「Whose war is it?(これは誰の戦争なのか?)」で、イランとウクライナで続く戦争について、「戦争とは依然として『老人が語り、若者が死ぬ』ものだ」と指摘した。
その象徴として社説は、アメリカ空母「エイブラハム・リンカーン」の長期航海がもたらす兵站上の課題を取り上げる。出航から9カ月が経過し、ベトナム戦争以来、アメリカ米空母が母港を離れる最長航海記録を更新しようとしているなか、「リンカーン号の乗組員の士気が低下し、なかには深刻な精神的苦痛を抱える者もいるとの報告が出ている」と伝える。
社説は、この空母の苦境こそ、アメリカが戦争をいかに遂行してきたかを如実に物語っているとし、「明確な方針もなく、目標が絶えず変わり続けるなか、兵站は完全に混乱し、海軍兵士とその家族は宙ぶらりんの状態に置かれている」と伝える。
そのうえで、社説は「権力を持つ老人は決して学ばない」と厳しく批判し、「イラン問題をめぐるトランプ大統領も、ウクライナ問題をめぐるプーチン大統領も、自らのエゴを満たすために、戦場に立つ若者たちを死に追いやり続けている」と断じる。
「これは誰のための戦争なのか」。インド紙の問いかけは、戦争を決断し、続ける者と、その結果を引き受ける者との間の大きな隔たりを突く。
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戦争が長期化し、ニュースとして取り上げられる機会が減っても、そこで失われる命や、兵士と家族が負う苦しみがなくなるわけではない。外交によって戦争の出口を探ることを求めるパキスタンの社説も、戦争を決断する者と犠牲を負う者の違いを指摘するインド紙も、どちらも戦争を「当たり前の風景」にしてはならないと問いかけている。
(原文)
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/2025373/dual-approach
インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/whose-war-is-it/













