プーチン大統領がパレスチナのアッバス議長と会談
ウクライナ侵攻を続けるロシアはガザ情勢にどんな見解を示したか
- 2024/8/19
ロシアのプーチン大統領は8月12日、モスクワ郊外でパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談し、今後のガザ情勢について意見交換を行いました。2022年2月にウクライナに軍事侵攻したロシアがイスラエルのガザ地区に対する虐殺行為をどう捉え、どのような見解を示すのかに国際社会の注目が集まりました。
中東の報道ぶりを紹介します。
ロシアとの連携に期待を寄せるパレスチナ
サウジアラビア初の英字新聞アラブニュースは8月11日、ロシアの国営メディアTASSの報道を引用しながら、パレスチナ側が今回の会合に寄せる意気込みを紹介した。
アッバス議長はハマスと対立しているファタハ・パレスチナ運動を率いる党首である。アラブニュースによれば、駐ロシアパレスチナ大使のアブデル氏は今回の会談について「両者は今日の状況に対してロシアに何ができるのか協議するだろう。私たちパレスチナは現在、非常に困難な状況にあり、ロシアは私たちに近しい国だ。私たちは互いに連携しなければならない」と話しているという。
二国家解決案策の支持を強調したプーチン大統領
一方、カタールに拠点を置く国営の衛星放送テレビ局アルジャジーラは会談当日の8月13日、両者がどのような話し合いを行なったのか詳しく報道した。
報道によれば、アッバス大統領は会合でロシアをパレスチナ人の 「親愛なる友人」とみなしていると発言。プーチン大統領もこれに答え、イスラエルとパレスチナの間の領土紛争を解決する方策の一つである二国家解決策をロシアが支持している旨を改めて強調したという。
さらにアルジャジーラは、プーチン大統領が会合で「すでに知られている通り、現在のロシアは残念ながら武器を手に自国の利益と国民を守らなければならない状況にある。しかし、中東地域、特にパレスチナで起きていることは、もちろん見逃すことはできない。我々はパレスチナで展開されている人道的大惨事を大きな痛みと不安をもって見守っている」と発言したとも伝えている。
ロシアは長年にわたり、パレスチナとイスラエル双方の間で友好的な関係を保とうとしてきた。しかし、ハマスによるイスラエル侵攻と、イスラエルによるガザ地区への報復が開始されて以来、ロシアはハマスの代表団を受け入れたり、イスラエルの報復によってガザ地区で約4万人の市民が死亡し、9割以上が避難せざるを得ない状況にあることを強調したりして、イスラエルの怒りを買っている。
(原文)
サウジアアラビア:
ARAB News: Putin to hold talks with Palestinian President Abbas on Tuesday: TASS
https://www.arabnews.com/node/2567127/world
カタール:
Al-Jazeera: Putin expresses concern about civilian deaths in Gaza in meeting with Abbas
https://www.aljazeera.com/news/2024/8/13/putin-expresses-concern-about-civilian-deaths-in-gaza-in-meeting-with-abbas