バイデン政権のガザ対応と米大統領選の行方

  • 2024/6/10

八方美人は出口戦略にあらず

 イスラエルのネタニヤフ首相は6月3日、ハマスとの戦争について、その壊滅を含め、「同国が求める条件が満たされない限り恒久的な停戦はあり得ない」との強硬な考えを、改めて強調している。

 事実、ネタニヤフ氏はイスラエル世論の支持が高いハマスとの戦いを「第二の独立戦争」と位置付けており、パレスチナ人側から見ると「第二のナクバ(アラビア語で大厄災)」となっている。1948年のナクバでは、イスラエル建国のため70万~80万人のパレスチナ住民が土地を追われた。さらなる追放が起これば、米民主党内の分裂が進み、バイデン氏の得票に悪影響が出ることは避けられない。

イスラエル軍の攻撃を受けたガザ地区南部ラファからトラックに乗って逃れようとする人々 (c) UNRWA / X

 バイデン政権にとって悩ましいのは、1960年代にテレビがベトナム戦争の残虐性を映像で米国民に伝えたことで、当時の民主党ジョンソン政権の戦争指導が行き詰まったように、今回もソーシャルメディアがガザにおける悲惨な映像を拡散することによって、バイデン大統領の選挙戦をより困難にしていることだ。

 イスラエルに対しても、パレスチナに同情的な国際世論に対しても、どちらにもいい顔を見せようとする八方美人的なバイデン大統領は、「どちらの味方なのか」と糾弾され、大統領選でリードすることがますます難しくなるのではないか。

 こうした中、サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプトなどの主要アラブ国の外相たちは6月3日、戦闘の休止に向けたバイデン米大統領の提案に「真剣かつ前向きに」取り組むことが重要だと述べた。だが、アラブ諸国の支持を得てなお、イスラエルはバイデン政権が望む「妥協による平和」ではなく、パレスチナ人追放とユダヤ人入植など、「力による平和」を選択するだろう。

 民主・共和両党の支持者にとって、バイデン大統領はすでに「中東問題に弱腰な指導者」だというイメージがついてしまった。少なくない民主党支持者が棄権や白票、あるいは「第3の候補」への投票行動に走ることは、もはや避けられないだろう。それが結果的にバイデン票をより多く削るのか、トランプ票をより多く減らすのかが注目される。

 

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