極限のガザ「赤ちゃんを殺さないで」 アジアからも抗議の声
国際社会はイスラエルを孤立に追い込めるのか
- 2025/6/11
イスラエルとパレスチナの情勢は混迷し、人道危機はもはや極限の状況にある。パレスチナのマンスール国連大使は5月28日、国連安全保障理事会で開かれた会合で、ガザの深刻な食料不足などについて涙ながらに訴えた。大使によれば、3月に停戦が破られて以降、1300人以上の子どもが死亡し、4000人が負傷したという。
「国際社会の無策が赤ちゃんを見殺しにする」
バングラデシュの英字紙デイリースターは、5月21日付で「赤ちゃんを戦争の犠牲者にしないで」と題した社説を掲載した。
「援助がタイムリーにガザ地区に届かなければ、200万人が飢餓に直面し、1万4000人の赤ちゃんが48時間以内に死亡する可能性がある」。社説は「国連の警告」を引用したうえで、「この状況はもはや『深刻』の域を超え、絶望の極致を象徴している」と述べた。
また、パレスチナへの攻撃について「国際人道法と人権に関するすべての国際条約に違反した一方的な戦争」だと断じたうえで、「人間の命が見殺しにされているのに、それを止める措置が講じられていない」と述べ、国際社会の批判がまったく効果を上げていないことを指摘した。
さらに社説は、「単なる警告はもはや意味を成さない」と述べ、「今こそ、これまでパレスチナの惨状を黙認してきた”イスラエルの友人たち”が厳しい措置を講じるべきであり、人道支援を無条件で認めるべきだ」「赤ちゃんを含む人々が飢え死にしている今、一瞬たりとも時間を無駄にはできない」と社説は訴えている。
イスラエルの「野蛮」な戦争
5月半ば、イギリス、フランス、カナダの3カ国がイスラエルによるガザ地区への侵攻について「即時停止」を求める共同声明を発表。「人道支援への制限を解除しなければ、さらに具体的な対応をとる」として、イスラエルへの制裁について示唆した。
これを受け、インドの英字紙ヒンドゥーは5月22日付で「イスラエルの孤立」と題した社説を掲載し、英・仏・カナダによる共同声明について、「イスラエルのネタニヤフ政権が、ガザでの残酷なキャンペーンによってますます孤立を深めていることを示すものだ」との見方を示した。
また、インド政府がこれまでいかなる声明も発表せず沈黙している理由については、「パキスタンとの間で紛争を抱えている我々は、パキスタンへの攻撃作戦を明確に支持してくれるイスラエルのことを批判しづらいのではないか」と推測する。
そのうえで社説は、「しかし、ガザの状況とカシミール紛争には何の関連性もない」と断言し、「イスラエルによって空爆と破壊行為が絶え間なく続くなか、多くの人命が奪われ続けている。にもかかわらず、イスラエルは人質解放やハマスの消滅という目的を達成できていない」と述べる。
ネタニヤフ氏は、ガザ攻撃を「文明と野蛮の戦争」だと位置付けようとしている。これに対し、社説は「いまやネタニヤフ氏は世界中の支持者を失いつつある」としたうえで、「最も弱く、無防備な人たちを最も厳しく攻撃しているこのあてどのない戦争こそが、『野蛮』なものだ」と、断じている。
(原文)
バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/dont-let-babies-become-war-casualties-3900121