イラン攻撃で「燃え上がる海」への視線
生態系への影響や湾岸諸国の安全保障の見直しを論じる南アジア紙
- 2026/4/11
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を受けて、多くの新聞が、戦争の自国や自国民への影響や、戦争そのものの正当性について論じているなか、インドとパキスタンの社説は、少しユニークな視点から今回の戦争について取り上げた。
インド紙は海の環境への悪影響を危惧
インドの英字紙タイムズオブインディアは、3月14日付の社説「燃え上がる海」で、戦争が海の環境に与える影響の深刻さを指摘した。
社説は、「ホルムズ海峡は炎上している。イランが燃料タンカーを狙い、爆発物を積んだボートを投入しているからだ。テレビのニュースでは、炎上する船から立ち上る漆黒の煙の映像が流れされている」と述べ、「しかし、海底の惨状を伝える映像が流れることは決していない。報じられることもない」と、嘆く。
そのうえで社説は「戦争が海を殺し、海洋生態系を荒廃させ、沿岸の生息地を破壊すること」が問題だと指摘。さらに、「劇的な映像がないため、気に懸ける人がほとんどいない」と、続ける。海に登記された軍艦の残骸、沈没した船舶がもたらす環境的コスト、金属くず、有毒な油、化学物質――。こうしたものたちが、海洋の動植物を「窒息させている」と主張する。
さらに、陸上の生態系への影響はもちろん十分に恐ろしい、としながら「戦争が海に与える影響はさらに深刻だ」と訴える。
「理由は単純だ。海は相互につながっており、被害は波及するからだ」「海上で繰り広げられる戦争による被害は、目に見えにくいが永遠に続く」
集団安全保障の必要性を訴えるパキスタン紙
パキスタンの英字紙ドーンも、今回の攻撃を少し違う角度から論じている。同紙は3月12日付の社説で「集団安全保障」という問題をとりあげた。
社説はまず、「多くの湾岸諸国は、アメリカ軍の基地を国内に置けば安全が保障されると考えていた。アメリカはペルシャ湾全域に軍事施設を維持し、数千人の兵士を駐留させている。しかし、イランがこれらを攻撃したことで、湾岸諸国とアメリカの取り決めは大きな負担になった」と、指摘した。
また、イスラエルがアラブ首長国連邦、バーレーン、スーダン、モロッコとの国交正常化に合意した2020年の「アブラハム合意」も、これらの国々にとって「負担」となっているという。イランはイスラエルも攻撃しているため、これらの国々も標的になる可能性があるというのだ。
こうした現実を踏まえ、社説は「今回の攻撃が停止されたら、地域諸国は対話の席に着く必要がある」と指摘。「イラン、アラブ諸国、トルコは、領土紛争やイデオロギーの相違など、未解決の諸問題をすべて議論し、互いの主張を尊重して友好的な解決を図るべきだ。そのうえで、集団安全保障に取り組む必要がある」と、訴える。
「湾岸諸国は、地域に根差すことなく武器産業を維持することしか関心のない外部の勢力に自国の安全保障をゆだねるのではなく、自ら責任を負わなくてはならない」と、社説は強調している。
(原文)
インド:
https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/seas-on-fire-2/
パキスタン:
https://www.dawn.com/news/1981201/collective-security













