UAEがOPECから脱退 南アジアからは歓迎と懸念の声
湾岸の石油産出国による生産枠組みに亀裂

  • 2026/5/18

 アラブ首長国連邦(UAE)が石油輸出国機構(OPEC)からの離脱を発表した。湾岸の石油輸出国で構成されるOPECは、加盟国に生産枠を割り当て、原油価格を制御してきたが、その枠組みに亀裂が入った。

オーストリア・ウィーンにあるOPEC本部の外観 (c) C.Stadler/Bwag / wikimediacommons

「カルテル」からの脱退を歓迎するインド紙

 インドの英字紙タイムズ・オブ・インディアは、4月30日付の社説でこの話題をとりあげた。

 社説は、「UAEのOPEC脱退は歓迎すべきことだ。なぜならOPECは単なるカルテルであり、カルテルは消費者に多大な負担を強いるものであるからだ」と書き出す。さらに社説は、「カルテルは、自由市場にあってはならないものであり、公然と存在してはいけないものだ」と強く批判。「OPECの行動は、世界中のあらゆる人々に影響を及ぼしている。ディーゼル燃料、プラスチック、肥料、繊維製品の価格から免れる者は誰もいない」と述べ、「OPECの原油価格のコントロールが世界に大きな影響をもたらしている」と、指摘する。また、経済学者の試算として、「1970年から2014年にかけて、OPECの行動が世界に5.7兆ドルの損失をもたらした」と紹介している。

 ただし、UAEの今回の脱退については、「反カルテルという高潔な理念に基づくものではない」とも指摘。「UAEは、OPECを離脱することによって、同組織の生産割当に縛られることなく、生産量と収益を拡大しようとしている」との見方を示す。

 最後に社説は、「OPECはすでにその影響力の多くを失っている。アメリカやUAEなどによる積極的な生産は、世界経済にとってプラスとなるだろう」と述べている。

パキスタン紙は「地政学的な変化の表れ」と警戒

 パキスタンの英字紙ドーンもUAEのOPEC脱退に素早く反応し、4月30日付の社説でこの話題をとりあげた。

 社説は今回の事態について、「世界秩序を再構築しつつある大きな地政学的な変化を示している」と表現した。さらに、「石油をめぐる政治的な要因だけでなく、サウジアラビアとUAEの対立も絡んでいる」と指摘した。

 また、UAEが「すべての利益のために、より大きな犠牲を払ってきた」という声明を出したことについて、「そうした犠牲を払う時代は終わり、国際舞台で独自に行動することを望んでいるように見える」との見方を示す。

 ともあれ、今回の事態は、湾岸諸国が連帯を失っていることを表面化させた。

 「OPECは良くも悪くもグローバル・サウスのエネルギー生産国で構成された組織である。地政学的な同盟関係が変化し、かつてのアラブ・イスラム・第三世界の連帯が試されるなか、サウジアラビアがこの組織をいつまで維持できるかは不透明だ。UAEが示したように、今や各国の利害はバラバラである」

                    *

 インド紙が「期待」するように、UAEの脱退が原油市場に良い変化をもたらすのかどうかはまだ見えてこない。ただ、パキスタン紙が懸念するように、今回のUAEの動きによって各国の外交政策がおおいに影響を受けることは間違いないだろう。

 

(原文)

インド:

https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-edit-page/cartel-blanche/

パキスタン:

https://www.dawn.com/news/1996257/uaes-opec-exit

 

 

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