若すぎる結婚の終焉
インドネシア、結婚法を改正へ

  • 2019/9/24

きっかけは3人の被害者

 さらに社説は、若すぎる結婚は若い母親に重い負担がかかるという社会的な側面も指摘する。家族の経済状況を軽くするために早いうちに結婚させられた若い少女たちは、育児や生活の負担を一人で背負うことになり、貧困に陥ることもあるという。

 今回、結婚年齢の引き上げが議論されるようになったのは、昨年12月に憲法裁判所が下した判断がきっかけだ。児童結婚させられた3人の被害者の訴えを踏まえ、同裁判所は「1974年の結婚法が子どもの権利を侵害している」と判断したのだ。

 実際、ある調査によると、法定年齢以下の結婚は裁判所への申請と認可が求められるにも関わらず、そうしたケースの95%が偽造書類を提出し、申請を免れているという。社説は、「児童結婚させられた子どもたちは、学校へ通い、自分を成長させる機会を奪われている」と指摘した上で、「児童結婚がなくならない背景には、貧困だけでなく、人身売買ビジネスの横行がある」との見方を示す。中には、「村や国を離れて出稼ぎするためには、結婚証明や離婚証明が必要だ」と言いくるめて児童結婚させるケースもあるという。

 その上で、社説は、「ありがたいことに、最近は多くの政治家たちがこうした状況を変えようと行動を起こしている」と期待を寄せ、次のように述べている。「結婚法の改正が実現した時、われわれは初めてインドネシアで“合法的強姦”がなくなったと言える」

 

(原文:https://www.thejakartapost.com/academia/2019/09/17/ending-early-marriage.html)

 

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