肌の漂白剤で蝕まれる健康と美(下)
ケニア女性が白くなりたいと願う理由

  • 2019/9/19

 ポーリーン・ワンガリは、企業の人事部で働く一児の母だ。職探しをしていた時には、肌の色を理由に面接を断られたことがあったと顔を曇らせる。面接の時、担当者から「あなたの肌は暗く、荒れているから、肌を明るくする漂白クリームを買うべきだ」と伝えられたのだという。「特に美容関連の企業の経営者は、ほとんどが明るい肌の従業員が欲しいと思っているのではないでしょうか。働いている時に注目を集めるし、何より、白い肌が美しいと思う人がいるのですから」

 ポーリーンは、面接に来た相手をけなして肌を白くさせようとしたことに憤慨(ふんがい)し、自らこの企業を見限った。「私は、自分の肌の色が気に入っているし、とても幸せに生活しています。肌の色を変えるために薬を買おうとは決して思いません」

面接時に肌を白くするよう言われたポーリーン・ワンガリ(筆者撮影)

 企業の渉外として働く傍ら、フリーライターとして活動しているメリッサ・ワンディアの知人も最近、薬品を使って肌の色を白くしたという。メリッサ自身は肌の色を変えようと思ったことはないが、「色を明るくして、もっと綺麗になればいいのに」と周囲から何度か言われたことがある。

 メリッサは、ジミーと同じように、容姿に自信がない女性ほど安易に肌を漂白したがる、と考えている。問題は、そうした女性たちのほとんどは、薬剤に有害な化学物質が含まれているリスクを認識していないということだ。

 メリッサによると、肌の漂白は、男性よりも、女性の間でよく行われるという。女性には「より美しくあれ」、男性には「よりお金を稼ぐべき」という世間からの強いプレッシャーがあるためだ。「一般的に、白い肌を持った女性の方が好まれる風潮があります。実際、テレビキャスターは肌の白い女性が多いですよね」「漂白剤を使った不自然な外見の女性は、明らかにそうと分かりますが、私はそうして人工的に作られた肌を美しいと思いません」

 その上で彼女は、こうした風潮は社会に原因があると訴える。「わたしたちは、肌が黒い人間が生まれたアフリカで生きているのです。白い肌を持っている女性しか応募できない仕事などあってはなりません。こんな社会こそが、黒い肌の女性に漂白剤を使うことを強いているのです」

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