肌の漂白剤で蝕まれる健康と美(下)
ケニア女性が白くなりたいと願う理由
- 2019/9/19
「黒い肌は美しい」
アフリカ女性のジェンダー問題を解決すべく立ち上げられたダブルエックスアジェンダ創設者であるジョアン・クリアは、自らの肌の色に悩むケニア人を救おうと、昨年から「My Black is Beautiful(私たちの黒い肌は美しい)」キャンペーンを展開している。
「この運動は、私たちの社会にはびこる固定概念や偏見を変えるために、極めて重要なものです。この問題は、肌の黒い奴隷(どれい)は頑丈だとみなされ、畑で力仕事をさせられた一方、肌の明るい奴隷は繊細で好ましいとみなされ、家で家事をしていれば良いとされた植民地時代に遡ります」
この運動を始めるまで、ジョアンはカラリズム(colorism:肌の色で偏見や差別を行うこと)がケニア社会でそれほど問題だと思っていなかった。ケニアでは、ほとんどの人々が黒い肌であるからだ。しかし、数人の女性にインタビューを行ったのを機に、彼女の考えは一変したという。特に、あるケニア人女性が「明るい肌の色の子どもを産むために、白人男性と付き合う」と言ったことに強い衝撃を受けた。「その女性は、彼女自身が受けた悪戯(いたずら)を子どもに経験してほしくないと願っていました。さらに、別の女性は、小学生の時にウシク(usiku:スワヒリ語で夜の意味)やギザ(giza:スワヒリ語で闇の意味)、またはキウィ(Kiwi:靴墨メーカーのブランド名)などとからかわれたことがトラウマになっていると語ってくれました」